歌う
『いつか、歌ってあげる。あなたの事も…』
緩やかな金の髪を持つ人はそう言った。
甘い声と旋律はまるでそこに確固たる物としてあるかのように紡ぎだされる。
それはまるで色の褪せない物語。
その唇にいつか自分の物語を紡いでほしくて心を躍らせた日々。
今も忘れずにいる高揚感。
『いつか、歌ってあげる。あなたの事も…』
まぶしい光に包まれて…どんな顔だったかも覚えてもいないけれど、
覚えている…そのまとう風と音。
いつか、あなたに歌ってもらえるように…
自分の道をただ歩いていく。
色褪せぬ思い出、金の歌…