あなたへ贈る記憶の欠片…

 
 これから書き記す事は,我が敬愛する従姉殿…
ミルフィス・セカンディルについての記憶である…
本来ならば,この力を個人的に活用する事は避けて通りたかったのだが…
もはや,それも限界であると悟った事からの記憶である。

我が敬愛する従姉殿…これをご覧になる事はまずありえない事でしょう…
けれど…記憶せずにはいられないほど,私はあなたの存在を大きく感じていたのです…
あなたの行動…仕草を記憶する事をお許しください…


 ミルフィス・セカンディル…レンティア大陸において,カナンとして生まれる…
彼女の持つ鉱石は大変純度が高く,その肌・瞳・髪にいたるまで純白の容姿を持ち,
ジェイドであることがうかがえる…
年は現時点では21歳…身長160cm,体重は不明…
性格的にはその外見通り穏やかで優しく,また極度にマイペースである。
…しかし,その反面外見とは裏腹に信じられないほどの行動力と勇気がその細い身体に存在し,
本記憶者は幾度となく,その華奢な背中を見つめた事だろう…

 一見穏やかで…言い換えれば押しの弱そうな外見にも関わらず,
彼女はけしてひるむ事はなかった。
たくさんの意見をその身に受けながらもけしてそれに流される事もなく,
自分の意見は言いぬく…それが誰であっても…
恥ずかしながら本記憶者が幼少の頃イジメにあった時も,
自分よりも1回りも2回りも大きな相手に立ち向かい,やはりその背に庇ってくれたものである。

…彼女は決してバカではなく…むしろ賢いと言えるであろう…
イジメ相手に立ち向かい,その後も何度か対面し…
そしてどう言うわけか,イジメそのものがなくなってしまったのである。
…一体どうなってしまったのか?
その事を彼女に聞いても決して詳しく話してはくれない。

『え?お話し合いをしただけですわ。』

その言葉と華やかな微笑みに本記憶者は何も言えなくなったのは言うまでもない。

 また,彼女は翡翠織りにも長けており,その指から紡がれる織物には熱烈な愛好者もおり,
このままそれを極めれば,おそらくはレンティア大陸一の織り師となれたことだろう…

…と,このように…
本記憶者は,手放しで誉める事を厭わない程この従姉殿を敬愛してやまないのであるが…
たった1つだけ欠点があった…
そうたった1つ…
思い込みが激しいのである。
彼女はかなり思いこみが激しく,たった1度だけあった現・炎の盾隊長に
恋焦がれるようになったのである。

『運命の人に出会えましたの!!』

頬を薔薇色に染めて微笑み報告してくる彼女を誰が攻める事などできるだろうか?
その後彼女はどのように知り合ったのか事細かく教えてくれたが…
残念ならが本記憶者は覚えてはいない…いや…正確には聞いていなかった…

彼女にとって本記憶者はたんなる従弟でしかなかった…
それが事実…であった…それだけだ。

それからしばらくして彼女は翡翠織りから翡翠鍛冶として転職した。
現・炎の盾殿のそばに行き,役に立ちたいとの願いからだそうだ…
彼女の願いは聞き届けられ,めでたく…炎の盾軍へと配属も決った…
…これは彼女にとって幸せであるといえるのだろうか?

  ○    ○    ○    ○    ○    ○
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「…ここにいましたの?セルディオ。」
穏やかな微笑を浮かべながらミルフィスは石に記憶を封じこんでいる従弟の
セルディオに話しかけた。
「…フィス従姉さん…もういかれるのですか?」
その笑みに答える様にセルディオも微笑む。
本日を持って,ミルフィスは炎の盾軍つきの翡翠鍛冶として配属される。
「えぇ!これでやっと…ガガ様のそばにいく事が出来ますわ!
 …セルディオ…ありがとう…あなたのおかげでわたくしは行く事ができるのですから。」
ミルフィスは優しく,優しくセルディオの頬を両の手に挟み,額に口付けをする。
兄弟にするそれのように…
「いいえ…フィス従姉さんががんばったから…これからのあなたの未来に幸多からん事を…」
…きちんと笑えている事を願いつつ,セルディオはミルフィスに兄弟のように答える。
「セルディオは兄弟のいないわたくしにとってかけがえのない弟ですわ。
 …あなたがわたくしの味方をしてくれた事…本当に嬉しかった…」
セルディオに背を向けつつ,ミルフィスは前へ…自分の進みたい方向へと身体を向ける。
いつでもセルディオはミルフィスの華奢な背中を見ていた…
止める事はここにいる誰にも出来ない…

ならば,せめて…愛する従姉殿の幸せを祈る事が今出来る精一杯の事ではないだろうか?
セルディオはミルフィスの背中を追う…その手に青い石の欠片を持って…

  ○    ○    ○    ○    ○    ○

……我が敬愛する従姉殿は本日を持って炎の盾軍付き翡翠鍛冶となった……
戦いとは無縁の所にいた彼女に幸多からん事を!!
…最後に…私事で申し訳ないが…
…我が敬愛する従姉殿…
私があなたを「姉」としてみていなかった事を知らずに行った従姉殿…
もしも…その事を知っていれば…あなたは彼の人の元へ行かなかったでしょうか?
……愛するあなたがいつも微笑みにあふれるように…
ただただ…願ってやみません。

この石を,どこか遠くへ沈めましょう…
いつか見つかる事が出来たなら…
その時,私はあなたを「姉」としてみることを誓います。
fin
2001/05/31

ここで言いたかった事…別にミルフィスがもてると言うわけではなくて…
単に,ミルフィスは人から与えられる「恋愛感情」と言うものがまったくわかって
いないと言う事(^^;…おそらく,ガガ様に会うまでは「恋愛感情」と言うものは
欠如していたのではないかと思います〜
私はプラテイルを書くにあたって家族うんぬんを固めていくのが好きです(^^)
なぜかな?多分そうしていく事によってよりPCが解ってくるからかもしれません(^^;
…何はともあれ…つたない文章を読んでくださってありがとうございます(^^)
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