フェンス

キレイなカマボコを昨日食べたのはいつだったか
コケインの歌を聞いたのは
過去のどこに位置づけられているのだろうか
その日が誰にあるのか

キレイなカマボコの断面は
冷ややかに凹凸を繰り返し
しなやかな映像の上にうっすらと
汗をかいていた

書かれた日付の声を聞きながら眠りを繰り返したのは
まだ見つけられていない小さな魚の夢

  1996-07-27 20:42:15 NATURAL

  牛の角 

仔牛の角、私は舐めてみる
生まれたばかりの緑の木々に、
死んでいたあの人の顔が見え隠れして
油断のならない、仔牛の舌を
機械のようによけながら、  

風見鶏は上を向かない
掠め取る大気の流れの上に
砂糖を流した真珠をあふれるようにさせ  

とっくに私は大人でした
幼子は、仔牛の舌の上で寝ています  

1996-06-24 01:56:17 NATURAL

  五日のちに降る雨は 

五日のちに降る雨が
夜が始まる前に始まり、
無関心な鳥たちの羽音は公園の木々に集まるだろう。  

世界の中で、と私は考える。
目立たない表情が速やかな流速にのって
目の前を去っていくように、
逃げ出したネコの尻尾のように、  

しばらく私は考え込む。
ハデな色彩のない季節が続き
最低の夜が、雨の音を続けていくだろう。

               1996-06-24 01:44:19 NATURAL