夢の轡

                       未発表


 アンダーグランド

キリンはたのしい

夜から朝まで

まちのゴミ箱あさり

そらを飛ぶとりのように

片目をつむる

キリンは夜のまちを疾走する

枕の上にできたコブを相手に

私はお手玉をとる

朝になると

ゴミ箱が奇麗になっていると

たのしいな

私はキリンの味方、アンダーグランド


 宝くじ

サイダーの泡はお金をはらむ

金持になりたい私

メガネをかけて

ディスコへいきたい私

コップのひびが

おやしき建てて

私はそこの召使い

ストローをください


 食事

  一

桃色の足が

私を殺した

花が散るように

枝はおれた

あなたが食事しているときに。

  二

お皿を壊した

あなたが壊した

私のせいじゃありません

  三

かんたんな答えは

言わぬが花

花は散らされ

小鳥が啄む

ゴリラがふみつける

私はせんべい蒲団の上で

寝汗を一升かいた


 轡

ある年の初夏の日

私は家族を連れて山の径を歩いていた。

そこへ懐かしい神父様があらわれて

私たちは四人で歩いた。

と中、藤の花が、

濃いピンクの色で

山肌にひとすじふもとにむかって

淡いすじをひいていた。

そのすじを横切って、

さらに歩をすすめると

大きな木造家屋があり

そこは山腹に建っているので

入った玄関は一階だと思うと

三階建てだった。

せまい部屋が複雑に

入りくんで、

私が部屋から部屋へと

さぐり歩いていると

重ね菱の形の部屋の畳の上に

私の子供が

ぐっすり眠っていた。

一階の便所へつづく廊下は

どっしりとうすぐらく黒光りがしていた。