ヘアケアーの基礎知識


毛の発生
毛包は胎児4〜5ヶ月までに形成されはじめる。
男女、人種を問わず絶対数は一定
生後増えることはないが、その後の成長によって身体各部位で密度の差を生じる
毛包(もうほう)
=毛包の中に毛母細胞が出来る

  
毛の形成
毛母細胞の分裂によって作られた細胞は皮膚表面に向かって移動しながら角化し、毛幹内毛根鞘になる
毛母細胞(もうぼさいぼう)
=毛の核になる細胞

毛幹(もうかん)
=髪の毛の皮膚表面にでている部分

内毛根鞘(ないもうこんしょう)
=毛根が毛幹になるまで栄養を与えたり、守ったりしている部分
毛の種類
硬毛
 :頭髪・眉毛・まつ毛のように黒くて硬い毛
軟毛 :うぶ毛とも呼ばれている
     思春期になって硬毛に変化するものもある
毛の形
*直毛の横断面は円形
*波状毛では楕円形
*縮毛では扁平
頭髪の太さ
頭髪は平均0.1ミリ
後頭部がもっとも太くて頭頂部がもっとも細い
一般的に女性の毛は男性より太い
毛の数量
身体全体の毛は140万本。
そのうち、頭髪は6〜14万本
髪の細い人は多く、太い人は少ない傾向がある
毛の構造
毛は表皮が真皮に向かってできた凹み(毛包)の中に生えている

毛 幹
 :皮膚の表面にでている部分
毛 根 :毛包内の部分
毛 球 :毛母細胞、色素細胞があり、活発に細胞分裂を繰り返し毛を作る
毛乳頭 :毛球に包み込まれた真皮組織で毛の発育に必要な栄養を供給する
毛の断面
中心より毛髄質・毛皮質・毛小皮
(角化した細胞で根元から毛先に向かってうろこ状に重なり合っている)
毛の色
メラニンは毛髄と毛皮質の細胞に含まれているが、毛小皮にはない

ユーロメラニン
 茶色から黒色
フェオメラニン 淡黄色から銀白色になる
キューティクルは黒くない
=色素がないのでキューティクルは爪と同様に透明
乾燥すると白くなるので枝毛の先が白く見えるのはそのため

白毛(白髪)
白毛は遺伝に左右される
精神的なショックで白毛になるか? 
ショックがあると一時的に血液循環が悪くなり、毛皮質の細胞の
結合が緩み皮質内に気泡が入って、空気のため光が反射されて白く見える
白髪はストローと同じ状態
白髪は毛髄質・皮質がなく、毛小皮だけで伸びているので、弾力もなく硬い髪が多い
毛周期(ヘアサイクル)
毛包から生えてくる毛の成長は真皮から与えられるシグナルによって毛周期を形成しており、人では1本1本が異なった周期を繰り返す
成長
頭髪では0.2−0.5ミリ/日
昼が夜より、春夏が秋冬よりも伸びるのが早い

頭髪では成長期:3ー7年(95%)
      退縮期:2ー3週間(1%)
      休止期:4ー6ヶ月(5−10%)



毛の栄養
動物性タンパク質、脂質、糖、ビタミン類
(ビタミンAが不足すると毛は脆くなり、毛孔が角化して毛の伸びが妨げられる)
毛とホルモン
ホルモンの影響を受けない
まつ毛・眉毛の内2/3

副腎皮質由来アンドロゲン
口ひげ・胸毛・四肢の硬毛・陰毛は濃く、前頭・頭頂は薄くなる
女性ホルモン
(エストロゲン)

前頭・頭頂部の毛を抜けにくくする
甲状腺ホルモン(アンドロゲン)
眉毛の外1/3、側頭部・後頭部 
色と光沢の良し悪しは甲状腺ホルモンの影響

アンドロゲンの影響で毛包の大きさが決定される
アンドロゲンの血中濃度が低下すると前頭部の毛包が小さくなり、
このことが男性型脱毛の大きな原因となる
抜け毛
20−30歳台では90本/日
50−60歳台では150本/日
シャンプーした次の日に抜け毛が増えたと思ったら要注意!
抜け毛の原因
・食生活        (偏食・ダイエット・不定期な食事習慣)
・薬物
・放射線
・遺伝
・重い病気       (高熱が続くなど)
・出産          (ホルモンバランス)
・髪の手入れの仕方 (シャンプー・ブロー・スタイリング剤等)
・髪型          (強いパーマスタイル・ヘアブリーチ等)



男性型脱毛
休止期から成長期に移行するときに毛包が小型化し同時に成長期も短くなるために頭髪が細くなる
毛母細胞の増殖力が低下しているのではない
早め予防が第一
老人性脱毛症
毛乳頭の働きが低下して起こる(毛乳頭の老化)
予防策は血行を良くする事が一番
マッサージ・ブラッシング等
若年性脱毛症
遺伝的に毛乳頭が早く萎縮する
男性ホルモンの影響で前頭・頭頂部が抜けやすく、
髭・胸毛・四肢の硬毛は濃くなる
早い人は20台前半から症状が表れる早めのケアが進行を遅らせる唯一の予防法
機械的に毛乳頭が壊されて生じる脱毛

  瘢痕(はんこん)性脱毛 毛は再生しない
 
結髪性脱毛 初期なら再生する
瘢痕(きずあと)
=やけどや怪我による傷跡
結髪性脱毛(かもじ禿げ・強く引っ張る)
=物理的刺激が毛乳頭組織周辺に軽い炎症を起こし、その積み重ねが組織の老化を速めるから
円形脱毛症
頭皮のある1点で免疫系のバランスが崩れ、それが炎症を伴う自己免疫反応を引き起こし、毛母のタンパク質を攻撃して毛母細胞の萎縮をきたす
ストレスの影響が大きい
自然と治る事が多く、あまり気にしないことが大切
 
それでも気になる方は皮膚科へ
分娩後脱毛症
出産後3−4ヶ月でおこる 妊娠中は女性ホルモンの影響で毛の成長期が延長しているが、出産後に血中の女性ホルモンの低下が起こると毛包が一斉に休止期に入るため一度に大量の毛が抜ける
出産後は必ず大量に抜けて驚かれる方もいらっしゃるが、必ず元に戻ります



 フケ
(鱗屑or落屑)
頭皮の角質層が剥がれて頭の地肌に鱗屑としてたまっている状態をフケと呼ぶ
フケは誰にもでも生じ、洗髪後3ー4日すると目立ってくる
フケの種類
乾性
 皮脂腺の機能が低下している時にみられハラハラと落ちる
    アトピー性皮膚炎・魚鱗癬・ビタミンA欠乏症

油性 皮脂分泌が亢進している時に見られる湿ったフケで、指で引っかくと粘って爪に付いてくる

脂漏性皮膚炎
普通のフケは2−3日に1回規則的にシャンプーすれば簡単に洗い流すことが出来るが、
病的なフケはシャンプーでは改善しない
頭皮の病変は髪の健康にも影響を及ぼすので医療を必要とする

オイリーヘアが脱毛の直接原因ではない
皮脂分泌亢進と関連している内分泌学的変調がフケや脱毛と関係しているのである
(亢進=たかぶっていること・皮脂の分泌が激しい)
ヘアケア製品では皮脂の分泌を抑えることは出来ない
出来るのは表面にたまった皮脂を除くことである
頭皮毛髪に異常があるときのチェックポイント
*帽子やヘルメットで頭皮がいつもむれていないか
*シャンプーが残留しやすい手を抜いた洗い方をしていないか?
*毛髪や地肌を強くこすりすぎていないか
*リンスを地肌にこすりつけていないか
*湯が熱すぎないか
*シャンプーの回数は適切か(週2〜3回が適当)
*整髪料の刺激はないか(しみるようなら使用を止める)
*いじり癖はないか
健康毛の条件
*毛の表面が滑らかですべすべしている
*しなやかで弾力性に富む
*光沢をもっている

毛髪は適当な水分を含んでいて油脂に包まれていることが大切である
脂肪膜を奪う環境因子
寒気・摩擦・風雨・紫外線・熱・環境汚染
シャンプー・ヘアーブリーチ・ヘアカラー・コールドパーマ

外界のほこり、汚染粒子により油脂は汚れ、乳化のバランスが崩れ、ドライヘアーを招く汚染粒子は
毛穴をつめる原因にもなる
紫外線による毛髪の障害
退色・水分の減少・弾力の低下・ケラチン構造の変化
毛髪も日に焼け過ぎるとボロボロに!
シャンプー
*毛髪・頭皮に直接触れる物なので、これらに害を与えるものであってはならない
*脱脂力が強すぎるものは毛髪・頭皮を痛める
*泡立ちと洗浄力は必ずしも比例しない
内容成分に注意する
=指定成分のないものを


汚れ具合によってシャンプーを
薄めて使う(5〜10倍)
ヘアーコンディショニング
毛髪の表面、特に損傷毛の表面は電気的に陰性である
そのため陽性に荷電したトリートメント剤は毛髪の表面にしっかりと吸着される
リンスは地肌に付いたままだと
炎症の可能性があるので、しっかり
すすぐことが大切です
ヘアーコンディショナーの使用目的
*正常な毛髪を保護してその損傷を予防する
*損傷毛を保護して補強する
*損傷の進行を防止する
*髪に光沢を与え、毛髪を良好な状態に保つ

静電気の発生を減退させてブラッシングに際して摩擦を少なくする
ブラッシングの効果
*ブラッシングの摩擦によってフケを取り除くことができる
*頭皮の血行を促進して発毛促進の効果がある
*頭皮への刺激によって皮脂分泌の促進して光沢を与える
ブラッシングに際しての注意点
*普通のフケはブラッシングの力を加えなければ取れないほど強く固着していない
*フケが多く、痒みがある時にブラッシングで摩擦すると、かえってフケが増加することがある
*ブラッシングで頭皮を傷つけ、その後整髪剤を使用すると皮膚炎を引き起こすおそれもある

正常毛は4000回のブラッシングに耐えられる
逆毛を行うと500回でも毛小皮にかなりのダメージを受ける
パーマをかけた毛髪では1000回で同様の損傷がみられる
ブリーチ毛の方がパーマ毛よりブラッシングによる毛髪の損傷はより激しい
3000回で毛小皮はほとんど剥離されてしまう

ブラシは天然素材の物を使用しましょう
髪の毛を梳かすにはブタ毛  地肌を梳かすのには木櫛が良いでしょう
梳かす回数は
髪の毛はほつれがなくなるほど、地肌は軽く気持ちいいくらいまで。
あまり必要以上に梳かしすぎないことも大切です。