暦の話

新暦と季節感のずれ

暦には、新暦と旧暦があります。俗に新暦とわれる暦は、現在日本国が正式に採用している太陽暦です。これはグレゴリオ暦と呼ばれる世界標準の暦で、国際的な場面で用いられています。一方旧暦は、新暦以前に国が採用していた太陰暦です。暦の切り替えが行われたのは、明治6年のこと。日本人の歴史のなかでは、旧暦を使っていた時代が圧倒的に長いのです。それゆえ、日本人が作りあげてきた四季折々の風習や行事は、旧暦と切っても切り離せない関係にあります。

事実、桃の節句や端午の節句といった季節ならではの風習は、新暦よりも旧暦で行う方がしっくりします。3月3日は桃の節句です。これを新暦の3月3日にしますと、桃の花が間に合いません。旧暦の3月3日にしますと約一ヶ月遅れの4月となって、桃の花ほころぶ頃となります。5月5日の端午の節句には菖蒲を軒先に飾ってちまきや柏餅を食べる風習がありますが、これも新暦の5月5日では菖蒲がまだありません。旧暦の5月5日にすると新暦の6月になって、菖蒲も柏の葉も手に入るというぐあいです。

このような季節感のずれが最もよく表れるのが、新年ではないでしょうか。新年の賀詞といえば、「迎春」や「新春」と決まっています。さて、新暦の1月1日は、いったいぜんたい“春”なのでしょうか?新暦の1月1日は冬至からまだ一週間ほどしかたっておらず、冬まっただ中にあります。これから小寒大寒に向かって寒さが厳しくなる新暦の1月1日に、“迎春”?とはおかしいですね。これも旧暦にしなければ意味をなしません。旧暦の1月1日は、立春にいちばん近い新月の日です。年によって変動しますが、立春をすぎていれば、まさに春近しの気分が盛り上がり「迎春」「新春」にぴったりです。

旧暦のしくみ

日本人の季節感と切っても切れない旧暦。その旧暦とはいったいどんな暦なのでしょうか?旧暦は基本的には太陰暦です。新暦が太陽暦は、太陽の公転周期365日を一年とする太陽暦であるのに対して、旧暦は月の運行の一巡を一月とする太陰暦です。太陰暦は現在でもイスラムの国々などで使われています。欠点もあります。それは閏月が頻発して季節が定まりにくいことです。そこで江戸時代に採用された太陰暦は、太陰暦に二十四節気を組み合わせた太陰太陽暦と呼ばれる暦でした。しかしこの太陽太陰暦を用いても、19年に7回閏月が発生します。

二十四節気は中国で考案されたもので、太陽の位置から割りだした冬至、夏至などを含む二十四の点(節気)を導入したものです。このうち「春分」と「秋分」は国民の祝日になっています。また、夏至、冬至、立春、立夏、立秋、立冬などは今でもよく意識されています。二十四節気はそのまま一年十二ヶ月の節目と中間点を示します。すなはち、立春から寅月が、啓蟄から卯月が、清明から辰月が、立夏から巳月が、芒種から午月が、小暑から未月が、立秋から申月が、白露から酉月が、寒露から戌月が、立冬から亥月が、大雪から子月が、小寒から丑月が始まります。一年の始まりは立春からです。

                  
十二支月 二十四節気 太陽暦
立春(正月節)・・・この日から春 2月4日頃
雨水(正月中)・・・雪が解け雨水になる意 2月20日頃
啓蟄(二月節)・・・冬眠していた虫が穴からでてくる意3月5日頃
春分(二月中)・・・昼が夜と同じ長さになる 3月20日頃
清明(三月節)・・・芽吹いた草木が明瞭になる意 4月4日頃
穀雨(三月中)・・・穀物を育てる雨が降る意 4月20日頃
立夏(四月節)・・・この日から夏5月5日頃
小満(四月中)・・・万物に生気充満し草木茂る意 5月21日頃
芒種(五月節)・・・麦など殻のあるものを取り入れる意 6月5日頃
夏至(五月中)・・・一年でいちばん昼間が長い 6月21日頃
小暑(六月節)・・・暑さが次第に増す意 7月8日頃
大暑(六月中)・・・一年でいちばん暑い頃の意 7月23日頃
立秋(七月節)・・・この日から秋(申月) 8月9日頃
処暑(七月中)・・・暑さがようやく収まる意 8月23日頃
白露(八月節)・・・草木に朝露が宿る頃の意 9月7日頃
秋分(八月中)・・・夜が昼と同じ長さになる 9月23日頃
寒露(九月節)・・・野草にも露が宿る意 10月9日頃
霜降(九月中)・・・初霜が降りる頃の意10月24日頃
立冬(十月節)・・・この日から冬 11月7日頃
小雪(十月中)・・・雪がちらつく頃の意 11月23日頃
大雪(十一月節)・・・雪が多く降る意 12月8日頃
冬至(十一月中)・・・一年でいちばん夜間が長い 12月23日頃
小寒(十二月節)・・・寒さが厳しくなる意 1月6日頃
大寒(十二月中)・・・一年でいちばん寒い頃の意1月23日頃

人を占うときにも、干支などがずれることがあります。というのも、東洋の暦法では寅月が一年の始まりですから、誕生日が立春前ですと前年の生まれとなるからです。

一年の始まりを寅月とする暦法は、広く九星気学や四柱推命など東洋系の占術に共通しており、その基になっているのは陰陽五行説です。木気、火気、土気、金気、水気の五つの気が巡回する動きのなかで森羅万象をとらえようとするこの古代哲学が、東洋医学から占いや暦まで広くアジア文化圏の根本にあります。

月の暦

太陽暦の普及によって月の暦が忘れられた感がありますが、月の暦を知っていると役立つことがあります。例えば農事。種まきは新月から満月に向かう上弦の期間に、収穫は満月から新月に向かう下弦の期間に行うとよいといわれます。これが科学的に根拠のあることかどうかはわかりませんが、むかしの人は月の影響力を体感的に察知してそのように考えたのでしょう。

月は、人の心にも影響を及ぼしているようです。統計的に特定の月齢の日に犯罪や事故が増えるという調査結果もあります。西洋占星術では、月は感情を表すとされますから、月が心理と関係あると考えてもあながち的はずれではないでしょう。

月経と月齢

しかしなんといっても月の運行そのもに重なるのが、月経です。月の暦は、実は月経と同じです。月の運行と女性の生理は同調します。

月の運行は、満月に向かう14日間と、新月に向かう14日間の28日周期です。満月へ向かう上弦期、気は膨張し陰性になります。この時期女性はより陰性の気を受け、体温は下がり、子宮内膜は受胎への準備のために厚くなります。そして受胎しなかった場合満月に月経がやってきます。月が欠けてゆく下弦期、気は収縮し陽性になります。この時期女性の体は陽性の気を受け、体温は上がり、子宮は卵子を作り始めます。そして新月に排卵します。

実際は月経周期には個人差があり、この通りにならない女性も多いだろうと思います。しかし女性が自然と同調していれば、生理は月と同期します。自身の体調が気になる女性は、月の暦を参考にするとよいでしょう。

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