直売市

地産地消の直売市

農産物を直接販売する直売市が、近年全国的に普及しています。JAの直営店もあれば道の駅が運営するものもありますが、店舗は大型化する傾向です。いずれも仲買を通さずに売るので、安くて鮮度がよいことが消費者を引きつけているようです。のみならず、消費者側に地元の農産物を消費しようという「地産地消」の気運が高まってきたこともあるでしょう。

直売市の成功は、スーパーマーケットにも同様の動きをもたらしています。店によっては、いわゆる“地産地消コーナー”の一角が設けられ、地元産の新鮮な農産物が必ずしも安価ではないこともありますが、売られています。食料品の流通は広域化が当り前の業界において、こうした地元産だけの商品販売が部分的とはいえ可能になったのは画期的なことといえます。地産地消がこの潮流を後押ししていることは間違いありません。

農産物直売所の店内「画像」地元でその季節に採れた農産物を販売する直売市は、季節を如実に反映します。そうすると、店頭にはその季節には絶対に並ばない品が必ずでてきます。それは自然な当り前のことなのですが、季節に関係なく品が豊富に並んでいなければ消費者の要求に応えられないとの考えがこれまでは支配的でした。もちろん今でも、全体的にはそうかもしれません。しかし売る側のそうした先入観をくつがえすかのように、品ぞろえが季節に左右される直売市が買う側に支持されているのは、消費者の意識の変化の表れでしょうか。

直売市に望むこと

1.“地産地消”路線

直売市には、地域に根ざした食生活を支える拠点としての役割が期待されています。とにかくそこに行けば地元産のものがふんだんにあって、季節感も楽しめる“市”としての直売市です。しかしよく考えれば、これが洋の東西を問わず普遍的な“市”の性格でありましょう。地元産に限られた商品販売は実は強みなのです。地産地消路線が、直売市の王道です。

2.有機農産物の拡充

消費者としてが気になるのが、やはり農産物の安全性です。消費者は、地元の生産者だからとなんとなく安心していますが、地元だけで農作物の安全性が保証されるわけではありません。安全性を保証してくれるのは、今のところ認証制度しかないのが実情です。有機農産物の割合は、全般的にまだわずかです。有機認証以外に自治体独自の農産物認証制度が設けられていることもありますが、数量的にやはりまだ少ないようです。

アメリカ合衆国では、直売市の歴史は古く、1970年代より「ファーマーズ・マーケット」とよばれる農民市が組織されてきました。カリフォルニア州では、1977年に最初のファーマーズ・マーケットが同州の食糧農業法成立を受けて発足して以来、資格登録された栽培農家と契約を結んだ認定ファーマーズ・マーケットが州内各地域で開設しています。そこでは栽培基準を満たした農産物が直接販売され、消費者に安全な食材を供給する役割を果たしています。

3.良心的な商売の姿勢

直売市はれっきとした商業施設です。にも関わらず、経営者がそのような意識をもって商売をしているかどうか疑問に思うことがあります。一部の店でしょうが、「新米」の表示なのに食べてみると古米のようだったり、くずものの寄せ集めのような野菜が売られているのを目撃することがあります。いくら直接販売だからといって、少々難のある商品を売り場に並べるようでは消費者の信頼感は裏切られます。この点は、特にJAは厳格な商品管理を徹底しているスーパーを見習う必要がありそうです。

生産者にとっての直売市

ここまでは消費者の視点から直売市について見てきました。では、生産者にとって、直売市にはどのような利点があるのでしょうか? まず、小規模零細農家であっても商品の規格に縛られることなく簡易に出荷できます。市場の仲買を通さないので、自分で値段を決められるのも大きな魅力でしょう。こうした直売市のシステムが、小規模生産者の生産意欲を盛り上げていることがうかがえます。

生産者にとって何よりの朗報は、直売市が消費者に支持され、市を通じて消費者とのきずなが結ばれることだと思います。つまり、生産者・消費者が互いに信頼関係を築き、その基盤の上に直売市も発展してゆけるでしょう。それは双方にとって利益になります。

2004年11月

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