陰陽の応用

気候帯の陰陽

地球上の陰陽の影響力を見ていくこととしましょう。地球はご存知のとおり、自転・公転しています。よく考えたら、これは不思議なことです。真っ暗闇の宇宙空間に自転・公転する地球が、軌道からそれることなく浮かんでいるのは神秘的ですらあります。

地球のこの運動は、陰陽二対の躍動する力によって推進されます。陽は、宇宙から地球の内部へ向かう求心力であり、陰は、地球内部から外へ向かう遠心力です。地球上で最も大きい求心力がかかるのは北極と南極で、最も大きい遠心力がかかるのは赤道です。総じて、高緯度地帯では求心力がより強く、低緯度地帯では遠心力がより強くなります。中緯度地帯はその中間です。

こうした陰陽の影響力の差が、気候と植生の違いを生みだします。陽性が優勢のとき植物は根の部分が地中方向に成長し、水分が少なく、小さく、硬くなります。従って、寒帯では植生はまばらになります。陰性が優勢のときには、植物は上に向かって拡散的に速く成長し、水分を多く含み、大きく柔らかい実を高いところにつけます。従って、熱帯では巨大な植物が繁茂します。温帯はその中間ですから、四季があり、植生も季節ごとに変化します。熱帯に準じる夏は、葉の部分がよく成長します。一方寒帯に準じる冬は、根の部分がよく育ちます。

気候帯と食事

寒帯、温帯、熱帯それぞれにおいては、その気候と植生の違いから自ずと食事の型ができあがります。

例えばロシアやスカンジナビアなど寒冷な気候帯では、割合とソバが食べられるようです。ソバは、米や小麦といったそのほかの穀物に比べて粒が小さく硬いので、陽性です。また野菜とともに魚介類や動物の肉もよく食べられます。野菜は水分が少ないのでよく火を通して料理されます。塩を使って保存食も作られます。従って、寒帯の食事は陽性の強いものになります。陽性の食べ物は体を温めますから、寒冷な気候の下で生活するのに適しています。

熱帯に位置するインドではインディカ米が、メキシコではトウモロコシが食べられます。インディカ米は粒が細長い長粒種と呼ばれる品種で、短粒種のジャポニカ米と区別されます。両者を比べますと、インディカ米は陰性、ジャポニカ米は陽性です。トウモロコシは、米や小麦に比べて大粒ですから陰性です。また大きな葉野菜や熱帯果物がよくできますので、火をあまり使わずに生に近い形で、香辛料をきかせながら食べられます。従って、熱帯の食事は陰性の強いものになります。陰性の食べ物は体の熱を冷ます作用がありますから、暑い気候の下で体力を活性化するのに適しています。

温帯に位置する東アジアでは短粒種の米が、中央アジアから南ヨーロッパにかけては小麦が食べられます。米や小麦は、中庸の性質をもっています。四季があり、それぞれの地域で育つ野菜が食べられますが、寒帯に近い内陸性気候の北ヨーロッパでは牧畜が行われ、肉や乳製品が食べられます。一方四方を海に囲まれ温帯モンスーンにある日本では、砂漠に近い中央アジアやヨーロッパなどの乾燥地とは異なり、牧畜には向いていません。その代わりに、ふんだんに獲れる魚介類や海藻類が食べられます。

食べ物の陰陽

食べ物の陰陽を見ていくことにしましょう。食べ物の陰陽を知ることは、マクロビオティック食事法の大きな柱です。なぜ食べ物を陰陽によって分類をするのかといえば、そうすることによって自分自身と環境とのバランスをとる目安になるからです。

食べ物の陰陽を決めるものさしは、いくつかあります。まず、植物性か動物性かで分けます。いうまでもなく、植物性が陰性、動物性が陽性です。それから、南北いずれでできるか、火(陽)と水(陰)のどちらにより多く影響を受けているか、塩(陽)と油(陰)のどちらをより多く含んでいるか、ナトリウム(陽)とカリウム(陰)のどちらをより多く含んでいるか、といったことがらも判定材料になります。

植 物 性
陽△
砂糖
果物
木の実類 葉野菜
種子 地上菜
海藻類 根菜類
豚肉 豆類 牛乳
ソバ、米 麦、とうもろこし
牛肉 チーズ
家禽肉
▼陰
動 物 性

上の図は、食べ物の相対的な陰陽の位置関係を示したものです。右上にいくほど陰性が強く、左上にいくほど陽性が強くなります。表中最も陰性が強いのは砂糖、最も陽性が強いのは卵です。

一般に、食べ物の陰陽をいうときには中庸にあたる穀物を基準にします。中庸の位置は、表では小麦と米の辺りですから、これよりも右上に位置する砂糖、果物、葉野菜、地上菜、木の実・種子、根菜類などは陰性となります。しかしながら、普通この種の話題で根菜を陰性とはいわないような気がします。根菜は陽性であるといわれることが多いでしょう。これは、根菜が野菜のなかでは陽性であるといっているのです。「そのほかの野菜と比べて」という比較する対象が省かれています。このように、陰陽の語法は比較する対象によって変わりますから、その点は注意しましょう。

五段階式分類

食べ物に限らず普段私たちが口にするものを、「極陰」「陰」「中庸」「陽」「極陽」の5段階に分類した表が「五段階式の分類」です。表の見方は、上にいくほど陰性が強く、下にいくほど陽性が強くなります。従って、表中最も陰性が強いのは薬剤、最も陽性が強いのが精製塩になります。

[5段階式の分類]
▽極陰
  • 薬剤
  • 麻薬
  • 化学物質
  • アルコール
  • 蜂蜜
  • 砂糖
  • 精製甘味料
  • 刺激飲料(コーヒー、紅茶、ハーブ茶など)
  • 香辛料(胡椒、カレー粉など)
  • 精製油
  • 牛乳、アイスクリーム
  • 熱帯産果物
  • ナス科の野菜
  • 白米、精白小麦粉
▽陰
  • 米あめ
  • 温帯産果物
  • 種子、ナッツ
  • 葉野菜
中 庸
  • 野菜
  • 豆類および豆加工食品
  • 完全穀物
  • 海藻類
陽▲
  • 根菜類
  • 海塩(自然塩)
極陽▲
  • 鳥肉
  • チーズ
  • 精製塩

温帯に住む人に適した食事の目安として、標準マクロビオティック食が設定されています。標準マクロビオティック食では、上の表中極陰性と極陽性に分類された食べ物を避け、中庸の完全穀物を中心に陰性と陽性に属する食べ物をとるのが原則です。

熱帯に住む人に適した食事は、極陰性の食べ物も一部採り入れた食事になります。寒帯に住む人に適した食事は、逆に極陽性の食べ物も一部に採り入れた食事になります。

陰陽五行による分類

食べ物を陰陽五行により分類すると、以下の表のようになります。いつ、だれが、このように決めたのかは定かではありませんが、ともかくも、このような五行による食べ物の分類が存在します。

[五行式の分類]
  • 大麦、小麦、ライ麦
  • ねぎ
  • ワカメ
  • 味噌、醤油(発酵食品)
  • レモン、酢
  • 山菜
  • コーン、キンワ、アマランス
  • 胡椒、パセリ、たんぽぽ
  • のり、ダルス
  • すいか
  • オーツ、きび、もち米
  • もち
  • 玉ねぎ、キャベツ、ブロッコリ、白菜、かぶ(丸い野菜)
  • あらめ
  • 人参、大根(根菜)
  • 生姜、わさび
  • ひじき
  • りんご、梨
  • そば
  • 小豆
  • 黒胡麻
  • 昆布(海藻類一般)
  • ドライ・フルーツ

木は上昇するネルギーを表しますから、穀物では麦、野菜では上に伸びるねぎ、あるいは茸がここに入ります。また酸味も木性ですから、レモン、酢はここです。火は爆発的なエネルギーを表しますから、穀物では粒の大きいコーンが入っています。土は下降するエネルギーを表し、甘味に代表されますから、穀物ではオーツ、きびといった甘味のあるもの、野菜では玉ねぎやキャベツといった地上菜が入ります。金は凝縮的なエネルギーを表しますから、穀物では米がここに入ります。また辛味も金性なので、生姜、わさびがここです。水は横に揺れるエネルギーを表しますから、海藻類が入ります。また腎を司りますので、腎臓に似た小豆はここです。

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