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蛋白質はどれくらい?マデリン・ドレクスラー

~アメリカ人の食事について科学者の疑問:蛋白質を所要量の2倍取ることが健康に良いのか?~

原文:『How Much Protein? ~In debating the American diet,reserchers wonder if it's healthy to consume twice as much protein as we need ~』by Madeline Drexler
出典:『MIND AND BODY』誌

アメリカ人は昔から、蛋白質が力と活力の象徴であると信じてきた。しかし近年、アメリカ人は蛋白質を取りすぎているのではないか?我々が摂取してい る動物性蛋白質は植物性蛋白質よりも体に良くないのではないか?あるいは、我々の文化で評価が高いこの栄養素(減量のための混合飲料でさえ、結局は蛋白質 飲料と宣伝されている)を取りすぎたら病気になりはしないか?などの疑問が、科学者によって提起されている。

この数十年間、我々は脂肪の多い食事が体に良くないという無情な警告を聞かされ続けてきた。しかし最近になって、あまり大きく取り上げられないが、 蛋白質摂取の害と蛋白質の害について、科学者の間で議論が起きている。とりわけ低蛋白質の食事が、がんやそのほかの病気の危険性を減らすのかどうかについ て動物実験で科学的に立証されようとしている。

未解明な点もまだ多く残されたままであるが、初期の研究から導きだされた解明への糸口には、じらされる。しかしその中で興味をそそられる研究のいく つかは、コーネル大学の栄養生化学教授、コリン・キャンベル博士によるものだ。キャンベル博士は、中国で長期間食事と環境的因子と病気の関係について調査 の指揮を執った人として有名である。植物性食品中心の食事がまだ守られているこの国の農村地帯での初期調査からは、完全穀物と野菜中心の食事は心臓病と色 々な種類のがん双方の発生を抑えることを示す結果がでた。

研究室に戻ったキャンベル博士と同僚のオックスフォード大学のリンダ・ヤングマンは、蛋白質に絞って研究を続けている。彼らはある実験で、肝臓がん を引き起こす物質として知られているアフラトクシンを、初めてラットに与えた。そしてそのラットを、蛋白質摂取を異にする3グループに分けた。蛋白質が総 カロリーの10%以下の低蛋白質食ラットは、残りのグループで発生した肝臓がんを防いでいるように見えた。このグループのラットは、ほかのがんに罹る率も 低かった。しかし、キャンベル博士にとって最も重要と思われることは、動物性蛋白質は植物性蛋白質に比べ破壊をもたらすように見えることである。摂取量を 多くしたとき、動物性蛋白質はよりがんの発生を促す。『動物性蛋白質は人体でより効率的に利用されるがゆえに“良質の”蛋白質であると決めるのは、間違っ ています』と、キャンベル博士は言う。牛肉、豚肉、鶏肉の蛋白質は、アミノ酸の構造が人の蛋白質と似ているけれども、植物性蛋白質のいわゆる不完全な蛋白 質の方が、彼が断言するには、健康に良い。

ヤングマンとカリフォルニア大学バークレー校の生化学者ブルース・エイムズによれば、低蛋白質摂取は、DNAの損傷と老化を遅らせるという。低蛋白 質もしくは低カロリー食のラットは、通常の低蛋白質摂取量のラットに比べ細胞内に生じる有害な代謝生成物質の量が少ないことが判明した。酸化物は、体のさ びのようなものである。これが体内に蓄積すると、老化現象になり、がんの危険性が高くなる。それゆえ、別の発見はとりわけ興味深い。低蛋白質の放射線照射 されたラットは、普通食の放射線照射されたラットに比べ酸化による損傷が少なかった。

この結果は、人にも当てはまるだろうか?科学者は否定的だ。デーナ・ファーバーがんセンター準会員医師スティーブン・クリントン博士は、エイムズの 研究を挑戦的であると見なす一方、キャンベル博士の結論を”ひどい誤りであり単純である”とこきおろした。彼は、キャンベル博士のラット実験を人に当ては めるように推量すべきでないと信じているからである。そのほかの別の種類の動物と別の発がん物質を用いた実験では、蛋白質の制限は結果に違いを生じなかっ たし、ある場合にはがんをより促す結果を示している。

今度はキャンベル博士が、クリントン博士の矛盾する実験にアラを見つけた。クリントン博士が定義するところの”低蛋白質”は、しばしほかの実験で設 定される低蛋白質よりもずっと低いものである、というのがその理由の一部である。さらに言えば、植物性食品は動物性食品よりも健康に良いことを示す研究結 果は、我々の科学文化的伝統を脅かすものであると、博士は疑っている。『アメリカの大衆は、蛋白質とりわけ動物性蛋白質が重要であると決めてきた』。この 料理上の信条ゆえに、菜食に関する真剣な研究へ予算をつけることがためらわれている。

しかしそうでありながらも、キャンベル博士とクリントン博士はいくつかの点において意見が一致している。そのうちの一つは、アメリカ人は必要量より はるかに多い量の蛋白質を摂取している、ということだ。年齢と性別によって差はあるが、一日に44グラムから63グラムという蛋白質の推奨値のほぼ倍の量 を、アメリカ人は摂取している。もっと悪いことに、蛋白質のおよそ3分の2を、飽和脂肪酸を含む肉や乳製品から摂っているのである。

両博士とも、科学者は個々のビタミンやそのほかの栄養素がどのように人体に作用するかについてだけでなく、全体的な食習慣がどのように病気を促すか についてよく考えるべきである、との一致した考えをもっている。『この豊かな食事の中から、どの成分が病気に関わるのかを指摘するのは難しい』とクリント ン博士はいう。『食事全体が関係していると思う』と。そう、我々の高脂肪・低食物繊維の食事、肉とじゃがいもの料理が!

『単純に、もっと野菜を食べなさいと私はいいます』と、キャンベル博士は、自分自身を菜食主義に“かなり近い”としながら、『体調は以前より良くな りました。科学の方が遅れているのだと分かっています』と述べた。

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