肉は環境破壊の元凶?

原文:『Meat:~The Environmental Disaster?~』
出典:ユタ動物の権利同盟パンフレット(2004年以前)

肉中心のアメリカの食事は、世界規模の環境破壊の一大原因である。もしもアメリカ人が、植物性食品中心の食事を選択するなら、健康面で無数の恩恵に浴することができるばかりか、世界中の飢える人々を養うことに貢献でき、世界中で失われつつある生物多様性を危機から救い、この惑星の生命体にとって不可欠な水とそのほかの資源を守ることができるのである。

世界の飢餓

合衆国では、人のために生産される食料の耕作面積は、全体の半分以下である。農地の大部分は、家畜用飼料の生産のために使われている。これは、しかしながら、天然資源の大いなるムダにほかならない。16ポンド(7.2kg)分の穀物と大豆を家畜牛に与えても、食肉として口にできる量はわずか1ポンド(453g)である。

今日、合衆国の家畜全体が消費する穀物と大豆の量があれば、国民の5倍の人口を養うことができる。とうもろこし生産量の80%、燕麦生産量の95%以上が、家畜の飼料になっている。穀物は家畜を経由して食肉になるが、食肉を食べて得られるカロリーは、家畜に与えた穀物の10%分でしかない。

一人の肉中心の食事をしている人間を一年間養うには、3.15エーカー(約1.3ヘクタール)の土地が必要である。一人の菜食をしている人間を一年間養うには、1.5エーカー(約0.6ヘクタール)の土地、一人の完全菜食をしている人間を一年間養うには、6分の1エーカー(6.7アール)の土地が必要である。ということは、一人の肉食者が不健康で不摂生な生活を送るのに必要な土地面積があれば、二十人が健康的に活き活きと生活することができるのである。

ワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウンさんの計算によれば、アメリカ人が肉の消費量をたった10%減らすだけで、一年間に1200万トンの穀物を人が食べる分に回すことができる。この量は、今年地球上で餓死すると推定される6千万の人々を養うのには適量である。

もちろんそうなるためには、穀物が飢える人々の口に入ることが前提である。なのだが、食料を本当に必要としている人々に行きわたらせることは、次第に困難になっている。グアテマラでは、5歳以下の幼児の75%が栄養失調である。にもかかわらずこの国は、毎年4千ポンド(約1.8トン)の食肉をアメリカ合衆国に輸出している。問題は、こうした国の政府が我々アメリカ人の生活様式を支えるために、生産高の大部分を輸出することによって自国の飢餓を助長していることである。

1秒おきに子どもが死んでいる世界の状況をふまえれば、我々の肉中心の食事のために築かれた農業の仕組みは、なんとも不愉快である。それでも我々はそれを支持し続けている。食肉業界は、彼らの所業を赦してもらおうなどとは思っていない。彼らはただ、私たちの金が欲しいだけなのだ。相当数の人々が彼らの製品を購入し続けるかぎり、改革に抵抗するための資金が彼らの手にわたり、“教育的な”宣伝のため大金が学校に注ぎ込まれ、医学的・倫理的真実にあらがう説が持ちあげられることになるだろう。

あなたが完全菜食者になれば、食物が不足している人々がいる一方で膨大な量の食料をムダにしている仕組みに加担しないことを、食肉業界に対して意思表示することができる。

1エーカーの土地の利用方法:2万ポンドのジャガイモにする?それとも、165ポンドの牛肉?

森林伐採

アメリカの肉中心の食事は、環境への代価がいかほどであろうとも、直接人が食べるのに最も適した生産物を地上から締めだす圧力を常にかけ続けている。その結果として、広大な面積の農地が土壌浸食によって消失している。農地を転換しようとして、別の大きな環境破壊を引き起こしているのだ。森林伐採である。事実、アメリカ合衆国では、およそ2億6千万エーカー(1億522万ヘクタール)の面積の森林が、大部分の国民が当然と見なしている食事を支えるための土地に転換されている。

森林は、私たちが生きていくためになくてはならない。森林は酸素を供給し、気候を調節し、洪水を防ぎ、土壌浸食を防ぐには最も有効である。また森林は水を浄化し、循環させ、何百万種類もの動植物の生息地でもある。しかし、土地管理・森林業務局がいうには、我々が森林保護のためにできることは、何もない。「人は食べなければならないのです」と、同局のある役人は述べた。彼の言い分は、もしも我々が現在の肉中心の食事を続けるとするなら、その通りである。我々が貴重な森林を守るためにできることは、何もない。しかし、一人の人間が食事を変えるならば、全国規模の森林伐採をくい止めることができるばかりか、逆に森林を増やすこともできるだろう。

アメリカ人が家畜のための食料生産をやめ、その分直接人の口に入る食料生産に切り替えるならば、現在アメリカの標準的な高脂肪・低食物繊維食を支えるために使われている元々森林だった土地、2億6千万エーカーの面積のうち2億エーカー(8094万ヘクタール)を、森林に戻すことができる。

しかし問題は、これが国境止まりでないことである。合衆国民の肉消費量は増え続けており、中南米諸国より食肉を輸入している。これらの国々では、食肉牛のための牧草地を作るために、非常に貴重な熱帯雨林を切り開き続けている。アメリカが最初に牛肉を輸入した1960年当時、中央アメリカには13万平方マイルの手つかずの熱帯雨林が豊かに保たれていた。1985年には、その面積は8万平方マイルにまで減少し、熱帯雨林保有国の数も減少した。

これらの熱帯雨林は、世界で最も貴重な天然資源の一つである。世界の森林面積のわずか30%を占める熱帯雨林に、地上の植物の80%が生息しており、全地球に相当量の酸素を供給している。熱帯雨林は地球上で最古の生態系であり、生物の全種類の半数の生息地なのである。

しかし、この自然界の宝石は、急速に破壊されつつある。アメリカのファーストフード市場に送り込まれる食肉牛を育てる土地に、転換されているのだ。こんな土地の利用方法は、とてつもなく破壊的である。熱帯雨林は、北の森林地帯に比べ、木と葉の中に蓄えられる養分がずば抜けている。土壌の中には、養分はあまりない。それゆえ、熱帯雨林を伐採してその跡地に作られる“牧草地”には、土壌の表面を健康に保っていたミネラル分が欠けている。

さらに、植物が土地の表面を被っていないと暴雨によって、土壌侵食がとてつもない勢いで起きる。森林が伐採された直後、一頭の子牛に必要な土地面積は2.5エーカー(約1ヘクタール)である。しかしその後土地の侵食が進むので、二、三年以内に12エーカー(約4.8ヘクタール)、十年以内にはもっと土地が荒れて不毛になるので、20エーカー(約8ヘクタール)が必要になる。

アメリカの肉中心の食事は、無益にもただ肉牛の牧草地にするという目的のために、豊かな熱帯雨林を砂漠に変えている。

水の利用

アメリカの肉中心の食事のために使われる水の量には、度肝を抜かれる。

肉食者の一ヶ月分の食料を生産するために使われる水の量は、完全菜食者の一年分の食料を生産するのに使われる水の量より少ない。

穀物飼料によって飼育される国内の牛の半数は、カンサス、ネブラスカ、オクラホマ、コロラド、ニューメキシコ諸州にまたがる大草原地帯で生産される。これらの生産のためには膨大な量の水が必要であるが、それはただ一つの水源、オガララ帯水層より供給されている。

畜舎を用いた食肉生産が開始されて以来、大量の水をこのオガララ帯水層より引いており、現在毎年13億ガロンの水をこの帯水層より引いている。今後もこの割合で水を引き続けるならば、オガララ帯水層は二十五年以内に枯渇してしまうだろう。もしもそうなれば、合衆国の大草原には、人は全く住めなくなる。

たった1ポンドの牛肉を生産するのに、平均2500ガロンの水が使われる。この量は、標準的な家庭が家事目的に使用する水の総量一ヶ月分に等しい。

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