春の七草
1月7日は昔から、今年1年の邪気を払って七草粥を食べる風習がありました。
もともとは中国から伝わったものですが日本でもその歴史は古く、延暦23(804)年の「天皇神宮歴史帳」にその記録が残っています。
平安時代には春の七草は若菜、春の草と呼ばれていました。 百人一首の中にも「君がため春の野に出て若菜摘む わが衣手にゆきはふりつつ」という光孝天皇の歌があります。
しかしその一方で、当時七草粥は七種粥、つまり七種の穀物で作られたという説もあります。 入っていたものは米、粟、きび、ひえ、みの、胡麻、小豆で、七草として知られているせり、なずな、ごきょう、はこべら、仏の座、すずな、すずしろが使われるようになったのは鎌倉時代になってからだと言われています。七草粥の準備をする6日の晩、まな板の上には火箸、すりこぎ、おろし金、杓子、割薪菜箸、火吹竹を並べ、七草を刻みながら七草ばやしを歌いました。
「七草なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先に…」
ここに出てくる唐土の鳥というのは、鬼車鳥、夜行遊女などと呼ばれ、正月の夜に女子のいる家を襲い、その衣に血をかけられると疳になるといわれていました。 江戸時代には疫病の流行で多くの人が命を落としました。 その病原菌は大陸から渡ってくる鳥が持ってくる、また害鳥を追い払ってその年の豊作を願うという考えが混ざりあってこの歌が生まれ、七草粥の行事と結びついたのではないかといわれています。現代では八百屋さんの店先に七草セットが並びます。もし全種類揃わなくても春菊や人参、里芋など季節の野菜で十分代用できます。 お節料理や新年会のごちそうで疲れた胃腸をいたわり、不足しているビタミンを補うことができるメニューです。
芹(せり) セリ科の多年生植物。湿地に生え、若葉は香りが良く食用。 |
なずな アブラナ科の1年生、または2年生植物。春、白色で小さい花を開く。ぺんぺん草。 |
御形(ごぎょう) ははこぐさ。キク科の2年生植物。葉に白い綿毛が密生。 春夏に黄色い花を開く。 |
はこべら ナデシコ科の2年生植物。春、小型・白い花を開く。食用、漢方薬用。はこべ。 |
ほとけのざ キク科の2年生植物。小さい黄色い花とタンポポを小さくしたような葉をしている。コオニタコビラ。 注:シソ科のホトケノザとは全くの別物。 |
すずな かぶら。かぶ。アブラナ科の2年生植物。根は平たい球形で柔らかい。赤いものと白いものがある。根、葉共に食用。 |
※ 1年生植物 発芽したその年のうちに、 生長、開花、結実を終えて 枯れる植物。 |
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すずしろ 大根。アブラナ科の1年生または2年生植物。葉、根共に食用。 |