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おいしい紅茶は手間を惜しまず、時間を贅沢に使って入れるのがコツ。 今回は、紅茶を入れるプロセスの中でも特に大切な4つのポイント、「ゴールデンルール」についてお話させていただきますね。
――― ゴールデンルール 4つのポイント ―――T. ティーポットを使いましょう
香り、味、色の三拍子揃った紅茶をいれるために、ポットは欠かせないアイテムです。 ストレーナーに直接茶葉を入れてお湯を注ぐだけでも入れられないことはありませんが、それでは茶葉を蒸らす時間がなく、紅茶本来のおいしさが抽出できません。
また、ポットの形も四角や三角より丸型のほうがジャンピング(※1を参照)が起きやすく、紅茶のエキスが十分に引き出せます。U. 茶葉は正確に計りましょう
せっかく高級な茶葉を使っても、紅茶が薄すぎたり濃すぎたりしたらおいしさも半減です。 紅茶はカップ一杯につきティースプーン一杯(2.5g〜3g)の割合で、きちんと分量を計りましょう。 大きい茶葉(OPタイプ)はかさばるので山盛り一杯、小さい茶葉(BOPタイプ)なら中盛り、もしくは小盛りで一杯とします。 後は好みに応じて濃さを加減してください。V. くみたて、沸かしたてのお湯でいれましょう
紅茶をいれるお湯は、水道からくんだばかりの新鮮な水を、完全に沸騰させて使います。 お湯はぬるくても、沸かしすぎてもダメ。 ぬるいと茶葉が浮いてしまい、逆に沸かしすぎると茶葉が沈んでしまって、どちらも紅茶のうまみを抽出でみません(紅茶に合う水、合わない水は下の※2を参照)。 お湯は2〜3分沸騰させて、冷めないうちに素早くポットに注ぎましょう。W. しっかり蒸らしましょう
お湯を注いだら、すぐにポットにふたをして茶葉を蒸らし始めます。 このわずか数分の間に、ポットの中ではタンニンとカフェインが結びつき、まろやかでコクのある紅茶が作られるのです。 蒸らし時間は、茶葉の等級(グレード)によって違いますので、砂時計などを用意して正確に計ってください。
ちなみに、よく手軽に使われる「ティーパック」ですが、ティーパックはインスタントではありません。 ティーパックの茶葉も「ダスト(D)」と呼ばれるれっきとした等級(品質ではなく、葉のサイズのグレード)の1つなのです。
茶がらを捨てる手間をはぶいただけですので、きちんとゴールデンルールでいれてくださいね。 ソーサーでカップにふたをして蒸らすとよいでしょう。
等級別の蒸らし時間の目安(代表的な等級のみ) 時 間茶葉 オレジペコー(OP) 約3分〜5分 大
↑
↓
小ブロークンオレンジペコー(BOP) 約2分〜3分ブロークンオレンジペコーファニングス(BOPF) 約2分ティーバックの場合 約1分紅茶の等級は品質とは関係無なく、茶葉の形状や大きさによる分類です。
※1 <紅茶のおいしさをひき出すジャンピング>
茶葉を入れたポットにお湯を注いでしばらくすると、茶葉がポットの中で浮いたり沈んだりして上下に回転運動をはじめます。 まるで茶葉がジャンプしているように見えることから、この運動を「ジャンピング」といいます。 蒸らしている間にジャンピングが起きて、茶葉が元気に動けば動くほど、茶葉のうまみがひき出されて紅茶がおいしくなります。
ゴールンデンルールに「ポットを使う」「しっかり蒸らす」とあるのは、ジャンピングが紅茶の香り、味、色を左右する大切なものだからです。 “くみたて”の水を使うのも同様の理由からで、新鮮な水は空気をたっぷり含んでジャンピングが起きやすいから。 また、“沸かしたて”のお湯を使うのも、ぬるいと茶葉が浮いてしまい、ジャンピングが起きないからです。
そうして沸かしたお湯を、高い位置から勢いよくポットに注ぐことで、さらに空気を含まることができます。※2 <紅茶に合う水、合わない水> 紅茶に合う水の条件は、無臭であること、空気をたくさん含んでいること、軟水であることです。 軟水とは水の硬度を表すもので、水に含まれている酸化カルシウムの量が少ない水を軟水、多い水を硬水といいます。 酸化カルシウムは茶葉の浸出を妨げるので、紅茶にはこの含有量が少ない軟水を使います。
これらの条件を全部クリアした理想の水を用意するのは、大変なようで、実はとても簡単なことなのです。 なんということはない、水道からくんだばかりの水が紅茶にぴったりなのです。 カルキ臭さが気になる場合は、やかんのふたをとって沸騰させれば匂いは飛びます。
逆に、紅茶に合わない水の条件をあげると、くみ置きした水、市販のミネラルウォーター、沸かしすぎの湯、二度沸かしの湯などです。
この中のくみ置きした水、市販のミネラルウォーター、二度沸かしの湯は、ジャンピングが起きるための空気がすでに抜けてしまっているので紅茶には不向きなのです。 また、沸かしすぎお湯と市販のミネラルウォーターは、茶葉の浸出を妨げる酸化カルシウムが多いので紅茶には合いません。 ただし、ミネラルウォーターでも天然水なら紅茶にも合います。
「シェリーのお茶会」第2回はここまでです。 それではまたこの場所でお会いしましょうね。
参考資料 (株)永岡書店 発行 谷口安宏 監修 「紅茶の時間 とっておきの一杯のために」