シェリーのお茶会
第6回 世界の紅茶・紅茶の世界 U
―Sherry's Tea Time―


こんにちは。 夏も過ぎようとし秋の虫の声が聞えるようになったこの頃、皆様はお変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
 「世界の紅茶・紅茶の世界」シリーズ第2回目の今回はスリランカ地方の紅茶を取り上げてみようと思います。

――― 産地別紅茶の種類と特徴 ―――

§§§ スリランカ §§§
 日本の面積の約6分の1という小さな国スリランカは、インドに次ぐ世界2位の紅茶生産国です。
 独立前(セイロン)の19世紀半ばごろからイギリス人によって紅茶の栽培が始まっていましたが、当時のセイロンは世界有数のコーヒー生産国でした。 ところが「サビ病」(サビ菌の寄生によって起こる植物の病気)の発生によってコーヒー園は壊滅的な被害を受け、代わって19世紀末からはトーマス・リプトンの茶園を出発点として紅茶の生産が飛躍的に伸びてきたのです。

 セイロンティーは、茶の生産地や工場の標高によって次ぎの3つに区分されています。
ハイグロウンティー(高地産茶)
 標高約1300m以上で作られた紅茶。 高級茶としてランクされます。
ミディアムグロウンティー(中地産茶)
 標高600〜1300mの場所で産するもの。 ブレンド用として普及しています。
ローグロウンティー(低地産茶)
 標高600m以下で産するもの。 セイロンティー全体の約50%を占めます。

☆ウバ Uva
 世界三大銘茶のひとつ。 スリランカ南東、中央山脈の東側で作られるハイグロウンティーです。 その水色は、まるで海に沈みゆく太陽を思わせる橙赤色。 濃く抽出するとカップのふちに金色の輪を描くことから「ゴールデンリング」と称されます。
 収穫シーズンは乾季で、6〜7月のものが最良と言われ、ゴールデンリングもこの時期のもの。 タンニンの含有量が多く渋みが強いのが特徴です。 ストレートティーのほか、ミルクとの相性もバツグンなのでミルクティーにも最適です。



☆ディンブラ Dimbula
 ウバの反対側、中央山脈の西で作られるハイグロウンティーです。 高地栽培のものにしてはタンニンが少なく、口当たりのよい紅茶です。
 1〜2月に収穫されたものが最良で、水色は澄んだオレンジ色。 ほのかにバラのような香りがする上品な一品です。 やわらかな味を満喫するために、モーニングティーアイスティーがおすすめ。 バリエーションティーにして、いろいろな味を楽しむのもいいでしょう。



☆ヌワラエリヤ Nuwara Eliya
 ウバとディンブラの間、中央山脈の標高1800mの高地で作られるハイグロウンティーです。
 収穫時期は、北東モンスーンが乾いた風を運ぶ10〜2月ごろ。 やや緑がかったオレンジ色の水色はダージリンのファーストフラッシュを思わせます。 フレッシュな香りとおだやかな風味は、ストレートティーで味わうのがおすすめ。

☆キャンディー Kandy
 スリランカの古都キャンディ。 ヌワラエリヤの南に広がる高地で作られるミディアムグロウンティーです。
 タンニンが少ないため、渋みがないのが特徴。 アイスティーにしたときもクリームダウン(水色が白濁してしまうこと)が起こりにくく、透明感のあるアイスティーを作るには欠かせません。

☆ルフナ Ruhuna
 南部の熱帯雨林、標高700mの高地で栽培され、水色は黒みががった赤色。
 渋みは少ないのですが、中国茶にも似たスモーキーな香りとコクが楽しめることから、中近東諸国では人気の紅茶で、大量に輸出されています。 煮込み式のミルクティーによく合います。

 

――― 紅茶のそれなりにマメ知識? ―――

 

 ティーカップの歴史 <紅茶はソーサーから飲むものだった>

 ソーサーもティーカップの握手の変遷と同じように、はじめは存在せず、次第に普及していきました。
 ところで、ソーサーにはおもしろい歴史があります。 それはかつてソーサーで紅茶を飲んでいたという話しです。 はじめはオランダ人が行なっていたといわれ、北欧の人たちに伝わったようです。 貴族や労働者階級の人たちが、カップの紅茶をいったんソーサーにこぼして、ズルズルと音を立てて飲んでいたというのです。 ソーサーで飲むのは、貴族の茶会では招いてくれたホストへの感謝の気持ちを表す礼儀であったとか、猫舌の人々が熱い紅茶を冷ますためなど、いろいろな話しが伝えられていますが、なぜソーサーから飲んだのか、本当のところはわかっていません。 こうした歴史を振り返りながら、ソーサーで1杯いかがですか?

 

さて、「シェリーのお茶会」第6回はここまでです。
 これから少しずつ冬に近づいて、暖かい紅茶のおいしい季節になりますね♪ 
  それにしても、やっと「世界の紅茶・紅茶の世界」の2回目が終わりました…
3回目はいつになるんでしょうね…ふぅ。


参考資料  (株)永岡書店 発行 谷口安宏 監修 「紅茶の時間 とっておきの一杯のために」

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