うんちく 12宮と12星座の違い



  現在、夜空に浮かんでいる獅子座や乙女座と呼ばれるのがこの12星座ですが、対して雑誌の占いコーナーなどで「獅子座生まれの人」とある獅子座は天にある獅子座とは別のものです。占いで使われているのは、獅子座ではなく、正しくは獅子宮です。占星術で使われるのは12星座ではなく「黄道12宮」なのです。
 古代バビロニアの学者は、太陽の軌道をより明確にする為に、春分点(地球の赤道と太陽の軌道の交点)を起点として太陽の描く円軌道を正確に30度ずつ12等分し、それぞれに伝承されてきた12星座の名前を付けました。これが黄道12宮(Zodiac)です。
  太陽の軌道を無理やり12等分しているので実際の星座と12宮とはかなりズレがあります。しかも、12宮を設定した当時はきちんと牡羊座にあった春分点が、歳差運動※によって現在は魚座に移ってしまっています。おかげで、12星座と12宮のズレはさらに大きくなってしまっています。
  具体的に説明しますと、9月23日から10月21日に生まれた人の事を「天秤座生まれ」と呼びますが、これはこの人が生まれた時に太陽が天秤座の位置にあったことを意味します。
ですが、実際は現在のこの期間、太陽の背後で太陽と一緒に回っているのは乙女座です。
完全に1星座分ズレているのです。つまり天秤座生まれというのは間違いなのです。
一方、12宮は春分点を起点としており、実際の太陽の背後に何座があろうと関係ないので、天秤宮の生まれというのは正しいのです。
  現代の西洋占星術で使われているのは主に黄道12宮です。英語だと牡羊座も白洋宮も同じアリエスなので誤解される可能性がありますが、「天秤宮の生まれ」というように12星座の名前を使っているのは、その名の方が一般に広く知られているからだといわれます。



※ご存知の通り地球は自転しておりその回転の中心は地軸と呼ばれています。地軸は太陽と地球の中心を結んだ線と垂直に交わっておらず、少し傾いているわけですが、実はこの傾く方向が一定では無いんです。ほんの少し、ごく微妙(1年間に50.26秒)にではありますが、地軸は角度を保ったまま小さな円を描くように傾く方向を変えています。この現象は、歳差運動と呼ばれていて、1周期は約2万5920年だそうです。

ベランダに戻る