舞台 『SAMURAI7』 (原案:黒澤明『七人の侍』より)

時:2008.11.23(昼・夜の部) 24(千秋楽)
所:新宿コマ劇場

■あらすじ
 極めて大雑把に言ってしまうと、SF要素の入った時代劇モチーフのアクション作品。
戦いで得た恩賞で自らを機械で武装した侍『野伏せり(以下ノブセリ)』が、村を襲い、百姓達を虐げ、米や女達を搾取していた。
そのうちのひとつであるカンナ村は、巫女・キララに『サムライ』を探し、ノブセリを退治してもらおうと考える。
キララによって集められた、カンベエを始めとする7人のサムライは、ノブセリを迎え撃つが、その奥には更なる黒幕が…。

■登場人物

 公式サイト:舞台『SAMURAI7』

 以下、登場人物初登場時にキャスト名(敬称略)を挙げさせていただきます。
メインキャストのみになりますがごめんなさい。

■舞台構造

コマ劇場の名前の通り、舞台の中心から3層に渡って足場が円形に分かれており、それらが回転したり、せり上がったり、沈み込んだりする構造になっています。
今回の舞台はその装置をフルに使ってありました。
大道具・背景のベースとしましては、舞台左右に階段が設置され、その両端を橋渡し状の足場が組んでありました。
あと、舞台背面の上半分にはスクリーンが設置。セットで作りきれない場面背景や、上空に浮かぶ戦艦系の映像が映し出されました。

第1部

◇前説◇

 キャストのひとり、森山栄治さんによる開幕前のご挨拶兼ご説明。

森山さん『この舞台は客席参加型の舞台となっております。皆さんには、キャストの名前を呼んでいただきたいと思います!!』

 開始10分頃:カンベエ・カツシロウ・キクチヨが名乗るシーン。
 開始25分頃:カンベエが『7人のサムライだ!!』と叫ぶとき、舞台上に7人が勢揃いするシーン。

森山さん『このシーンで、『キャー!カンベエー!』とか、『カツシロウー!』とか、『キクチヨ様ー!!』とか、叫びたくなったら叫んでください(笑)』

キクチヨ役が、住谷正樹ことレイザーラモンHGだからですか。

森山さんの合図で掛け声の練習が。
ちなみに夜の部で、私と通路を挟んだ隣にいた、どうやら役者さんらしい男性(女性にサインを頼まれていた…)が、
若い女性の『カンベエー!』とか『キュウゾウー!』という黄色い発声練習を圧倒する声量で『栄治ーー!!』と叫んでおられました。
気づかざるを得ない森山さんは舞台上で苦笑しておりましたが(笑)。

なお、この前説がのちに活きてきます。

□オープニング

 キララのナレーションにより、侍達が戦いを繰り広げるイメージ的シーン。
緞帳(どんちょう・舞台の幕)は上がっていますが、更に幕があり、影絵の要領でたくさんの人数が戦い合っている様子を表現。

□カンナ村

 シルエットだけを映していた幕も上がっていよいよ舞台。

ノブセリたちにより、米俵や女達を持ち去られるカンナ村。
冒頭から逃げ惑う村人たちで、オープニング的インパクトは大。
嘆き悲しむ村人達。
長老『こうなったら、サムライを雇うだ!サムライを雇ってノブセリどもをぶっ殺してもらうだ!!』
サムライを探しにいく役目を受けたのが、村の水分り(みくまり)の巫女・キララ(水野絵梨奈)

  キララの登場シーン。
  中央にかかっていたワラの幕が開き、男性陣の腕で作る道(階段)を降りてきました。
  組体操とか背中渡り競争の要領に似ています。スローモーションで。

コマチ「おらも行くです!」
キララ「遊びに行くのではないのですよ?」
コマチ「ねえさまばっかりずるいです。おらだって、外の世界を見てみたいです!」

キララの妹・コマチ(宮武祭・美桜/ダブルキャスト)と、サムライへの礼としての米俵を背負った、巫女の護衛役の村人・リキチ(黒川恭祐)も旅に同行します。

  コマチかわいいよコマチ。

□商人の街・サムライ登場

キララたちが着くや否や、押し込み強盗の場面に遭遇。強盗は、もう何日も食べていないというサムライ崩れの男。

押し込み強盗に立ち向かう若き剣士・カツシロウ(篠谷聖)
更に、全身を機械に変えた巨漢の男・キクチヨ(住谷正樹)があらわれる。
騒ぎの中で、コマチを人質にとる押し込み。

押し込み「(コマチに刀を突きつけて)こいつがどうなってもいいのか!!」
キクチヨ「(整備士・マサムネに刀を突きつけて)俺の友達がどうなってもいいのか!
押し込み「知るかァ!!」

  キクチヨ様はギャグ担当ですか。
  各所に山ほどちりばめられてます。

大騒ぎの中、あらわれたサムライ・カンベエ(加藤雅也)
リキチの手にしていた握り飯をひとつ手にして、コマチとの交換を申し出る。

押し込み「そいつ(握り飯)をこっちへ投げろ!」
カンベエ「分かっておる。大事な米だ、落とすなよ」

  投げるシーンは手振りだけ。(小道具の握り飯は見えない位置で上着のポケットへ)
  投げられた握り飯はスクリーン映像に。
  押し込みが斬られ倒れるシーンまではスローモーションで演じられます。
  カンベエのまとう空気からしてもうかっこいいです。渋いです。
  あんなぶっきらぼうな長髪が似合う壮年の男性は激レア。

握り飯を拾おうとコマチを手放して駆け寄る押し込みを、数度の太刀で切り伏せるカンベエ。
コマチも救出されてひと段落着きかけたところへ、騒ぎを聞いて兵を率いてあらわれたのは、
街の支配者・ウキョウ(山崎銀之丞)の乗った輿と、その側近・ヒョーゴ(森山栄治)
ヒョーゴ「お前たち、何者だ?」
ここで前説にあった名乗り上げシーン。

  カンベエ・カツシロウ・キクチヨそれぞれに飛び交う客席からの声援。
  でもドサクサでヒョーゴも名乗り出て、ついでに飛び交うヒョーゴコール。
  しかもさりげなく一番大きな声援。 ここからアドリブ。
  キクチヨ「お前への声援が一番大きくてどうすんだよどう考えても(大きいのは)こっちの筈だろ」
  ヒョーゴ「これが実力の差だ」
  キクチヨ「実力じゃねえよ前説やったからだろ。ズリーよ俺だってそんななら前説やりたかったわ」
  ヒョーゴ「前説がどれだけ大変か分かるか」
  キクチヨ「簡単だろそんなの」

  夜の部ではカンベエが渋い雰囲気のまま「早く(芝居を)元に戻せ」とツッコみ、
  千秋楽では(ヒョーゴの合図で)カンベエへの声援をやり直し、更に軽く手を上げて
  応えるカンベエに
  ヒョーゴ「…めちゃくちゃセクシーじゃねえか」
  まったくですよ。(強く同意) ていうかカンベエ様さいこう。

カンベエたちを捕らえようとするヒョーゴだが、キララが庇って慈悲を請います。
ここで、輿の中からウキョウの声が響きます。
見た感じ白塗りで平安貴族のような、マイペースで子供のような言動のウキョウ。
輿の御簾をシャッと上げたり、小窓をスパーンと開け放って顔だけ出すとか、インパクトはダントツ。
土下座するキララの美しさに目をつけた様子。
キララの隣に膝をついて許しを請ったカンベエを「百姓にかばわれるサムライか」とあざ笑って去ってゆくウキョウ一行。

  ところでこのウキョウ役の山崎銀之丞さん。
  声がとんでもなく矢尾さんに激似なんですけどどういうことですか。
  ファンの欲目じゃなくて冷静に考えて似すぎくらい似ている。
  もちろん口調によっては、はっきり違う人なんだと分かるんですけども、
  8割くらいの割合で似てたら自分、もうこの人がしゃべるたびに気が気じゃないワケで。
  しかもこの人上手いんだ…。

曲者の雰囲気全開のウキョウが、こそりと決定打を放ちます。
ウキョウ「ヒョーゴぉ」
ヒョーゴ「はっ」
ウキョウ「あのコ……良いねえ」

  この、ウキョウ様の口癖でもある『良いねえ』ですが、休憩時間中に客席に伝染してました。
  各所で若い子が『良いねえ』って言ってた気がする……(笑)。

□サムライさがし

巫女の首飾りは、「サムライ」に対して光り、存在を示す。
カンベエに、「どうか力を貸してください」と頼み込むキララ。
しかしカンベエは色よい返事をしない。
一方、カツシロウとキクチヨは進んで力になろうとする。
カンベエ「そなた、水分り(みくまり)の巫女であろう。ならば、苦い水に当たることもあろう」
そこへ、キララをつれてゆく為、再びヒョーゴが兵を率いて乗り込んでくる。

  ヒョーゴの、「かかれ!」とけしかける時に、ロングコートの衣装ポケットに
  手をつっこんだまま、軽く脚を蹴り上げるような動きが好きだ…。インテリ系ヤンキー万歳。

混戦のなか、ヒョーゴに連れ去られていくキララ。
動かないカンベエに、「腰抜けが!」と毒づくキクチヨを筆頭に、カツシロウやコマチらは
ヒョーゴを追いかける。

□ウキョウの城

薄暗い場所で目覚めるキララ。そこにあらわれたのは侍女を引き連れたウキョウ。
ウキョウ「夕べ、君の夢を見たんだ」
ウキョウはキララにそっと贈り物を差し出す。

  贈り物って、分かりやすくシャネルとヴィトンなんだけど(笑)。ここは多分台本通り。
  ウキョウ「どうしたの?君のために用意したシャネルにルイ・ヴィトンだよ!?
       受け取ってくれなきゃシャネルさんが悲しむじゃないか!」
  悲しむじゃないかと言われましても。
  キララは一度おそるおそる受け取るが、次の拒絶で放り投げる。
  そこに我先に群がる侍女。
  夜の部と千秋楽で侍女役の一人が、
  侍女「コノシャネル、ワタシガモラウヨ!!

  訛ったーーー!!(ガビーン)

  ウキョウ「国(実家)へ帰れ」
  ネタが細かいなあ…。

  ついでに、キララを取り押さえようとして兵士二人が杖で押さえつけたところ、
  ウキョウ「こら!キララくんを挟むんじゃない!なんか大きな割り箸みたいじゃないか!」
  …笑いを取っていいのかここで…。

一方、キララを助けに乗り込んできたカツシロウとキクチヨ。
カツシロウは、まだ相手にとどめをさすことが躊躇われる未熟さであることが判明しつつも、
兵士を相手に奮戦しているところへ逃げ出してきたキララが合流。
あとからカンベエも現れ、
キララ「来てくれると信じておりました」
カツシロウ「私はあなたを師と仰ぎます!!」

□二刀流剣士・キュウゾウ

ウキョウの館から脱出を試みるカンベエたち。

そこに現れた、二刀流の剣士・キュウゾウ(中河内雅貴)
カンベエと数度太刀を交わします。

  BGMが止まり、舞台端の階段上から登場してスポットライトまで従えて。
  さすが人気キャラ(らしい)キュウゾウです。 オイシすぎるぜ中河内雅貴!!
  ていうかこの人の動きがなんかもう良すぎる件。
  後から観たアニメの動画に7〜8割忠実ってどういう身体能力だ。

カンベエ「懐かしい匂いだ、お前も戦場を駆けておったか」
キュウゾウ「お前とは、改めて決着を付けてみたくなった。次は、邪魔の入らぬ場所で」

敵を振り切って、逃れてきたカンベエたち。
ついにキララの望みに応える事としたカンベエ。

カンベエ「だが、これだけでは足りぬ。わしを含め、あと7人」
キララ「7人……」
カンベエ「そう、7人のサムライだ!!」

  ここで前説のシーン。 乱れ飛ぶ声援。
  既に揃っているカンベエ・カツシロウ・キクチヨは舞台前。
  後ろの階段上へ、この後揃うゴロベエ・ヘイハチ・シチロージ・キュウゾウが並びます。
  舞台後方の画面には、タイトルロゴ『SAMURAI7』の文字。
  そして耳が壊れそうなほどのBGM。やばい燃え過ぎる。

  ていうかキャストコールはキュウゾウ率が高かった…。

□ゴロベエ登場

舞台中央に『命売り□(マス)』ののぼり旗を立て、ドラを鳴らして客寄せをする一人の男。
ゴロベエ(高橋広樹)「さあてお立合い!!これよりお見せするは、命を的の大勝V(ブイ)!!」
細かいギャグをちりばめながら、ゴロベエが宣伝するのは、『斬りつけられたらお前の勝ち』方式の勝負。
ゴロベエ「そなたら、わしと賭けをせぬか?」

見物客から3人に声をかけ、「さあ、遠慮なくかかってこられよ」
3人の太刀を軽く交わすゴロベエ。3人分の刀を1箇所に掴みまとめて
ゴロベエ「ハイしっかり掴んでキャッチングゥ〜(←@エドはるみ)(笑)」

  自分、予備知識ほとんどゼロで観に行ったモンですからして。
  この辺に惚れない筈がないと!!アニキィィィィィいい!!
  重いもの背負ってる癖に雰囲気が軽くてオトナなアニキが好きなんだよォォォ!!
  ていうか銀髪が大好きなんだよォォォォ!!(ゴロベエは銀というかグレー髪でした)

見事賭け金の小判をせしめるゴロベエ。
ゴロベエ「さあ、他に誰か勝負するものはおらぬか?」

そこに通りかかるキララたち。手元の首飾りも光を示します。
キララ「その命、私達に売ってみませんか」
ゴロベエ「して、いかにして買いなさる?」

背後から斬りかかろうとしていたカツシロウの、すんでのところで刀のツバをカチリと鳴らすゴロベエ。
カンベエの目にも認められた模様。
同行することを決めます。

□サムライさがし・番外編

しかし、そうホイホイと仲間は見つけられず。
ここでキクチヨが街から腕に覚えのあるらしい3人の男を連れてきますが、ここはショートコント。(笑)
三者三様に、背中に背負った刀が長すぎて抜けなかったり、今度は中身だけ短すぎたり、
刀じゃなくてマジシャンよろしく花を出したり。
キクチヨ「もういいよお前ら、帰れ」
3人「「「ちっ、覚えてやがれ!!ダッシュ!!」」」
と、声をそろえて去っていく小休止劇場。

  千秋楽では、ならではのスペシャルサプライズ。
  キクチヨ「今日は実はもう一人連れてきてるんだ」
  誰かと思えば、(何故か)某亀仙流の道着(シャツイン)を身に纏った(よりにもよって)
  
キュウゾウキタコレ(笑)。
  
  コマ劇場が沸きました。ワタシビビリマシタ。そこにいるのが誰か分かった人から叫びだす悲鳴の熱伝導。
  歓声なんだろうけどなんかもう悲鳴(笑)。
  キクチヨ「大丈夫か?キャラ的に(笑)」
  そんな千秋楽仕様のキュウゾウは、SE(効果音)まで交えた見事なかめはめ破を撃った挙句、
  3人組と一緒に同じ捨て台詞とダッシュポーズで退場。
  その後の休憩時間、そこかしこで「マサが」とか「かめはめ破」とか聞こえてきた…中河内雅貴伝説の誕生である(笑)。

□ヘイハチ登場

一行は茶店で小休止。
店で使われていた爪楊枝を目に留めるカンベエ。給仕の女性に
カンベエ「この楊枝を作った者はおるか?」
給仕「へぇ。(営業声で)ヘイハチさーん?(しーん)(ドス声で)ヘイハチィ!!」
はいはいと出てきたのは、丸太を抱えた小柄な男・ヘイハチ(きだつよし)
カンベエ「そなた、サムライか?」
ヘイハチ「ええまあ。でも金がありませんでね。メシの世話になる代わりにここで働かせてもらってます」
脇に抱えた巨大な丸太から、刀の一振りで楊枝を削りだすヘイハチの腕前は、地味に見えて相当と知れる。
彼もまた、サムライとして共に行くことになります。

□都

高い場所から望遠鏡を覗くウキョウ。
傍らで、側近のテッサイ(藤榮史哉)がキララがサムライを集めていることを報告します。
望遠鏡を覗いたまま、どうでもよさそうにマイペースに報告を聞くウキョウ。

  望遠鏡ですぐ傍のテッサイを覗き込み
  ウキョウ「なーんかこの顔、キショイ。プチ整形した方がいいんじゃない?」
  夜の部と千秋楽は『●カスクリニックへ行け』に変わっていた…。

ウキョウ「キララくん、頑張ってるんだ……で、彼らは今どこにいるの?」
テッサイ「この街の最下層に行ったものと」
ウキョウ「最下層……色町だね」

□色町・蛍屋 シチロージ登場

色町出だしのシーン。
遊女風衣装の女性達と、小間使い(?ふんどし一丁の男性達)及び、シチロージによるダンス。
背景のスクリーンには、ネオン街の映像が。香港の繁華街みたいなイメージ。
BGMが和風でロックでエロティックでステキ。シチロージ(載寧龍二)の口上もテンポがよい。
シチロージは槍使いなんですが、それを思わせる杖を使った華やかなダンス。
シルエットがかっこいいなあシチロージ。 この舞台、ロングコート型の衣装が多くてウハウハです。
舞台最前中央に、どっかり胡坐をかくと同時に肩に杖をあずけるポーズがかっこいい。
シチロージ「さあさ皆様お立合い、ここは蛍屋、浮世の憂さも苦しみも、すべて忘れさせやしょう!」

  ここの口上、千秋楽では「千秋楽です、どうぞ皆様盛大な拍手を!」になってました。盛り上がる客席。
  こういうサプライズも出来るんだなあ千秋楽って。カッケーぜシチロージ!!

あらわれたカンベエたち。
カンベエの曰く、シチロージは古女房。かつての戦仲間だといいます。
シチロージは今、色町のヒモさん。しかし、恋人である色街の姐さん・ユキノにも背を押され、彼も共に行くことを決めます。

□キクチヨの出自?

そのまま蛍屋にてのおもてなしシーン。
ここでカンベエは、カツシロウとキクチヨにはこの話を降りる事を勧めます。
カツシロウは人を斬ることを未だ恐れているため。

コマチ「カツの字からは戦場(いくさば)の匂いがしないです」

しかしカツシロウより更に納得の行かないのがキクチヨ。
カンベエ「そなた、サムライではなかろう」
ここでキクチヨは一本の巻物を取り出します。中身は家系図で、自分の血筋の正当を明かそうとします。

  キクチヨ「こいつを見ろ!(巻物を投げ広げる、が吹き戻しのように戻ってくる)おおお戻ってきた!(汗)」
  ハプニングによるアドリブかと思いましたが、観た全公演で戻ってきてた(笑)のでどうやら意図的なシーンだった模様。

ゴロベエ「ほほう、してお前さんはどれかいな」
キクチヨ「こいつよ!(指差す)」
ゴロベエ「それは女の名だ」
キクチヨ「何!?いや違ったか待て待て、おおこいつだこいつ!」
ゴロベエ「そいつはもう死んでおる」
キクチヨ「待て待てあるんだあるんだえーと?ほれ見てみろここにキクチヨとある!!」
(一同大爆笑)
キクチヨ「どうした何がおかしい!?」
ゴロベエ「確かにそこにはキクチヨと書いてあるが、もしそいつがお前さんなら、お前さんは、十年とって13歳という事になるのう」
キクチヨ「なに!?」
ゴロベエ「ほれ、ここに元和元年の生まれと書いてあるではないか」
コマチ「おっちゃま(キクチヨ)思春期です」
キクチヨ「誰が思春期だ!!」

  コマチ坊のカワイイツッコミ、回ごとに変わってました。
  千秋楽は「おっちゃま反抗期です」でした(笑)。

カンベエ「13歳(の反抗期)を戦に連れて行くわけにはいかんのう」
赤っ恥を隠そうと、巻物を抱え込もうとするキクチヨ。すんでのところで巻物をひったくるゴロベエ。
キクチヨ「返せこの!」
ゴロベエ「ほれほれどうした13歳(反抗期)〜♪」
やっと巻物を取り返し、悔しさ半分に飛び出していくキクチヨ。

  ここはなんていう小学校ですか(笑)。
  このシーンがコミカル面では一番好きかも知れない…。ゴロベエのリアクションがが好きすぎる…。

□脱出

そうこうしていると、再びヒョーゴが兵を連れてあらわれます。
目的はもちろんキララをつれて行くこと。
兵の追撃をかわしながら、
カンベエ「シチロージ、どうにかここを脱出する手立てはないか」
シチロージ「命がけで良ければ!!」
カンベエ「命がけとは?」
シチロージ「この色街のはずれに、古い列車があります。そいつに乗れば脱出できます!だが、相当な年代もの、果たして動くかどうか!!」
それでも一行はその列車で脱出する事に賭けます。

  列車のシーンは、コマ劇場の舞台装置の本領発揮。
  回転する部分がせり上がり、前後が階段状で中央が空洞になった足場があらわれ、それで列車を表現。

殿(しんがり)をつとめるのはゴロベエ。
ヒョーゴが兵士を3人引き連れて追いついてきます。
ゴロベエ「ふふん。1、2、さん!(@世界のナベアツ)4人か」
兵士「古いぞ!」
ゴロベエ「都の兵士も暇と見える。そなたら、わしと賭けをせぬか?」
得意技である投げナイフ(世界観的には小刀とか苦無だと思われ)で追っ手を打ち払います。

一方カンベエは、列車の屋根の上で追手であるキュウゾウと対峙。数度剣を交わします。
カンベエ「惚れた。お前の腕にな」

  列車の上っていうか、下は余裕で大人ひとり直立できる高さを持った場所の「上」!!
  キクチヨ役の住谷君さえ余裕で立ててるから、単純計算で約2メートル!!
  そんなただでさえ足のすくみそうな場所で、殺陣ですってよ。 迫力ありすぎ。
  走るわ立ち位置が左右入れ替わるわ。最高に印象に残った殺陣シーン。
  しかも両者の動きがかっこよすぎる。中河内キュウゾウの身体能力が異常値。

両者の間に割って入るキララ。
キララ「その人を斬ってはなりません」
キララの首飾りは、キュウゾウに対してもまた光を放っていました。
彼女の言葉によって、キュウゾウは仲間として同行する事になります。
(肝心なシーンの台詞を思い出せなくてごめんなさい…断片的なので前後が繋がらない/汗)
ヒョーゴ「キュウゾウ、貴様裏切るのか!」
キュウゾウ「……生きてみたくなっただけだ」
サムライたちを乗せた列車は遠くなっていきます。

  列車が遠ざかっていくシーン、回転しながら再び下へ下へ沈んでいくことで表現。
  遠近法の使い方が新鮮で面白い。

□カンナ村へ

7人そろったサムライをつれてカンナ村に戻ったキララたち。
しかし村には人の姿は見えず。
リキチが茂みに隠れていた村人のひとり・マンゾウ(久保田創)を見つけます。
マンゾウは怯えた様子で、
マンゾウ「帰ってけろ!おめえ達さえいなければ、ノブセリさまも手出しはしねえ!!」
ゴロベエ「おいおい、それでは話がさかさまだ。我々はノブセリを倒す為にここに呼ばれたのだぞ?」
そこに聞こえてくる、ノブセリの襲来を告げる板木の音。
突然、隠れていた村人があちこちから飛び出してきて、口々にサムライたちに助けを求めてすがりつきます。

カンベエ「落ち着け!……誰か、ノブセリを見たやつはおるのか!?では誰が板木を鳴らした?」
キクチヨ「俺様よ!!」
階段上にあらわれたのは、キクチヨとコマチ。
コマチ「みんな、ただいまです!(腰に下げた板木をコンコンと鳴らす)」
キクチヨ「よーし大成功だ!(コマチとハイタッチ)」

村人たちを非難するのかと思いきや、結論として村人の行動は正しいと説くキクチヨ。
キクチヨ「百姓ってのはなあ!ズリィんだよ!酒に、米に、武器!こいつらは絶対どこかに隠し持ってやがる!
      それをどうやって手に入れたと思う!?戦場の落ち武者を、よってたかってぶっ殺して手に入れたんだよ!!
      百姓ってのは、ズルくて!嘘つきで!臆病で!弱虫で人殺しだ!!
      ……だがよ、そんなバケモノを作ったのは誰だ!? テメェらサムライだろうが!!
      テメェらサムライが、戦起こして村を焼く!田んぼを焼く!食い物を奪うからだろうが!!」

  思い出せるのと友人の感想を引用させてもらってこれが限界の長台詞の記憶。
  キクチヨは意外と長台詞が多い。 この台詞、どうにも考えさせられるわ…。

キクチヨの大声に、泣き出す村人の中の赤ん坊。
キクチヨは、信じられないほど優しくその子を抱き上げてあやします。

キクチヨ「おおよしよし、泣くんじゃねえよ。…こいつは昔の俺にそっくりだ。
      村を焼かれて、親をなくして、泣いてばっかりいた俺にそっくりだ。…泣くんじゃねえ、泣くんじゃねえよ、
      この俺様が、必ず守ってやるからよぉ!!」
カンベエ「……おぬし、もとは百姓だな」

明らかになるキクチヨの出自。 キクチヨにすがる村人たち。
カンベエ「(村人に向かって)わしは、おぬしらを百姓とは思っておらぬ。このカンナ村を守る、兵士だと思っている」
カンベエの言葉に奮い立つ村人たち。 ここで村人の目が覚めるというか、決起が起こります。

のぼり旗を出してくるゴロベエ。
そこには、6つの○印とひとつの△、その下に、ひらがなで「た」と描かれています。
ゴロベエ「これは、おぬしの手で立てるがよい」
キクチヨ「なんでぇこりゃあ」
ヘイハチ「カンナ村の旗ですよ。『た』は田んぼを表します。そして6つのマルは我々サムライ」
キクチヨ「じゃあこの三角は?」
カンベエ「それはおぬしだ、キクチヨ」
ヘイハチ「サムライでもあり、百姓でもある、あなたのことです」

感極まるキクチヨ。力強く旗を立て、対ノブセリの準備が始まります。

□決戦前夜

  村の守りを固めるシーンで場面転換を兼ねてるところがナイス。
  ゴロベエ・ヘイハチの指揮のもと、土嚢と柵が下ろされ、大木で作った何かが運ばれてきます。
  カツシロウやキュウゾウは、村人たちに剣や弓を教えます。

ところが、やはりこれは『戦』なのであり、キララの表情は曇り気味のまま。
そこにゴロベエがあらわれ、ギャグを交えながら会話を交わします。
そこでゴロベエのささやかな『夢』についても。

ゴロベエ「これが片付いたら、本気で芸人を目指してみるのもいいやもしれぬのう」

  ……今になって思えばね、立派過ぎるくらいわかりやすい死にフラグですよ……。(独白)

そこで、ゴロベエはキララがカンベエを慕っていることまで見抜いてしまいます。
ゴロベエ「いい恋を、してコイよ」

かんらかんらと笑いながら退場するゴロベエ、入れ替わりで剣の稽古を終えたカツシロウが。
カツシロウ「私では、あなたの力にはなれませんか!?」
ここで、カツシロウはその意気込みと、キララへの想いまで告白してしまいます。

  昼の部のこの告白シーンで噛んでましたカミカミ王子カツシロウ君。 いいよ若さだよ!!
  その後、1公演ごとにどこかしら何かしら噛み、千秋楽においてはこのシーンで、
  キララ「カツシロウ様、舌が回っておりません
  キャラ的に崩せないキャラだと思っていたキララ嬢にまでざっくりツッコまれるカツシロウ。
  しかも既にキララのラブベクトルはカンベエ様に向いてるので、なんかもういろんな意味で目頭が熱い。(ホロリ)

そこに現れた数人のノブセリ。カツシロウ一人では分が悪く、押さえつけられてしまう二人。
どうしてこんなにも簡単に侵入を許してしまったのか。

マンゾウ「はっはっは!ざまあみろサムライめ!!ノブセリ様に逆らおうとするからだ!!」

村人のひとり、マンゾウがノブセリ達に通じて手引きしていたのです。
カツシロウ「どうしてあなたが!」
マンゾウ「ノブセリ様もサムライもおら達にとっちゃ何も変わらねえ!おらはシノ(娘)が無事ならそれでええだ!!」

  唐突に現れるマンゾウの娘・シノ。
  シノ「あんた、こないだキャバクラ行っただろ!!そこのノブセリもだ!あんたら、人として最低だー!!」
  唐突に去っていくシノ。
  ノブセリ「マンゾウが誘ったんだからね?」

  同じシーンで千秋楽、生々し過ぎるアドリブが炸裂。
  シノ「あんた!昨夜このノブセリとそこのキャバクラ行っただろ!」
  ノブセリ「問題はその後だ!!俺が終電間に合わないんじゃないかって何度も言ったのに、
       こいつは大丈夫です大丈夫ですって言いやがったくせにキャバ嬢とどっかに消えやがった!!
       おかげで俺は朝まで漫喫(漫画喫茶)だ!! シノ!お前こんな親でいいのか!!」
  シノ「マンゾウ!ていうか久保田ァ(マンゾウ役の本名)!!あんた、人として最低だー!!」

  何があったのチーム・サムライ7(笑)。
  「そこの」キャバクラって、コマ劇場はかの有名な新宿歌舞伎町のド真ん中なんですけど。

  そんなことを言ってるモンですから、

カツシロウ「こんな……こんな奴のために!!」

  と、怒りをあらわにする真面目な筈のカツシロウの台詞で笑いが起こらざるを得ないワケで。
  そりゃー悔しいだろうよ(笑)。

キレたカツシロウは、ノブセリを振り払い、戦おうとします。
しかし、やはり追い詰めてもとどめを刺すことが出来ないカツシロウ。
キララがいよいよ連れ去られそうになり、我を忘れたカツシロウはいよいよばっさりと相手を斬り殺してしまいます。

そこへ駆けつけるカンベエたち。惨状を見て、
カンベエ「おぬし、何をやった」
カツシロウ「(震えながら)…私は……!!」
カンベエ「おぬしはカンナ村を守ったのか」
カツシロウ「…はい…」
カンベエ「ならば、胸を張れ!斬った者の命を受け止めろ!!」

  若干台詞が違うかもしれませんが、斬った者の命と、その罪・咎(とが)を背負うのがサムライだとカンベエは説きます。
  ところで、ここでノブセリがひとり難を逃れて逃げ去るのですが、それを追いかけたキュウゾウの脚がやたら速い件。
  二刀流を抜刀したまま、やや前傾の姿勢で、なんかもうやたら速い。 なにこの運動能力。

目を覚ましたマンゾウですが、意外なことに(?)ヘイハチはマンゾウが許せない様子。
ヘイハチ「私はね、裏切りってやつが一番嫌いなんですよ!!」
穏やかに見えるヘイハチが、声を荒らげ、刀さえ抜き放ちます。
この場はカンベエの説得によって収まりましたが、ここちょっと伏線。

逃げたノブセリは仕留めたが、本隊に居場所が知れたと告げるキュウゾウ。
ここからノブセリとの前面対決へ。

□決戦、そして

舞台上で入れ替わり立ち代わりの見せ場となる殺陣を披露。
カンベエ様は言わずもがなかっこよく、迫力ある殺陣で客席を圧倒。
キクチヨはパワーを活かした大技が特徴的。 動きも大きく大迫力。
サムライとして吹っ切れたカツシロウは、「私は、サムライだ!」と言葉にして決意。
ゴロベエは、相変わらずコミカルさを交えながらの殺陣。「あー!小判が落ちてる!!…牛のうんこかー!」とか。
ヘイハチはナメてかかられそうで、でも相手に反撃を許さないほどの太刀筋を見せます。
シチロージの槍術は、刀による殺陣よりも踊りっぽい要素が強くて見た目に好きです。
そしてキュウゾウの回転剣舞。 殺陣とはいえ、ナマで回転剣舞見た! 動きが綺麗過ぎるこの人。
村人たちも、マンゾウが裏切りを逆に利用してノブセリをおびき出したりと奮闘を見せます。

  ここで千秋楽ネタ。
  カツシロウの「私は、サムライだ!」という台詞ですが、「私はもう(台詞を)噛まない!!」になってました。(笑)
  しかも大真面目に…。 はっちゃけぶりとしては大変ナイスでしたが、この台詞弄っちゃっていいのかなあ。
  ついでに、千秋楽開幕前の客席で、「マサ(キュウゾウ役中河内雅貴くん)の回転が見たいから、席をこっちにした」という
  熱烈なファンの会話が聞こえたりしてました。 もうあの殺陣は伝説だと思う…。

陸を闊歩するノブセリをいくら倒しても、空に浮かんだノブセリの本艦を落とさないことにはキリがありません。
そこで登場するのが、ヘイハチが担当した大木を加工した巨大弓。
村人が数人がかりで弦をかけるシロモノ。
その引き金をはずす役目を、女房・サナエをノブセリに連れ去られた男リキチが引き受けます。
武器は弓という飛び道具。 発射は思い切りとタイミングが命の一発勝負。

すると、リキチと弓を銃で狙うノブセリの生き残りが!!
それにいち早く気づいたのはゴロベエ。
ゴロベエ「リキチ!!」

ストップモーションで芝居が入ります。
飛び出して、リキチを突き飛ばすゴロベエ。 弓とリキチを庇うようにして、ゴロベエを銃弾が射抜きます。

  ゴロベエ役・高橋さんの衣装に火薬が仕込んであって、本当に破裂が起きました。
  ストップモーションの直後に、その衝撃で時間が元に戻るという演出で。 ギャアアゴロベエ様ァァァ!!(泣)

ゴロベエ「ははは…これは…しくじったのう……」

よろよろと立ち上がりながらも、なお巨大弓を守ろうとするゴロベエ。
そして、リキチに自分もろとも弓を放てと言います。

キララ「嫌ですゴロベエ殿!生きるとおっしゃったではありませんか!この戦いが終わったら、芸人を目指すと…。
    私を、笑わせてくれるとおっしゃったではありませんか!!」
ゴロベエ「そうだ、わしは、皆の笑いの絶えない世の中が見たい……生きたい!!
      だが!そのためには今、やらねばならんのだ!!
      ……さあお立ち合い!!これよりお見せするは命を的の大勝負!!」
刀を地面に突き立ててまで立ち続けようとするゴロベエ。

  ゴロベエ様ァァアアアアアアア!! いやあああああやめてええええええええ!!(心の声)
  すみません、気が動転して、肝心のここの台詞、いい事言ってたのに全部思い出せません私の馬鹿!!(泣)

ゴロベエ「笑え!キララ殿!!ふとんが、吹っ飛んだー!!はっはっはーー!!」

渾身の力で、槌(つち)を振るって巨大弓の引き金を叩き外すリキチ。

一人のサムライの命とともに、ノブセリの本艦は地面へと墜落していきます。
ノブセリを払った、しかし、やりきれない沈痛な面持ちのサムライたち。
カツシロウ「(カンベエに向かって)悲しくは、ないのですか!ゴロベエ殿が死んだのですよ!!?」

  やめて事実を言葉で確認させないで!!(ショックによる暴言)

カンベエ「……これが、戦だ」
カツシロウ「私には……、私には、分かりません!!」

ところが、そこに響き渡る墜落したはずの本艦からの不気味な声。

声『これで勝ったとは思うな。我々は使い走りにすぎない。』

ノブセリたちを裏で糸引く黒幕が存在したのだという。それは。

ウキョウ「都だよー」

緊張感など何もない、ウキョウの声。

  ここ、ヘンに重苦しい言い方よりも却って怖さが出てました。上手すぎるウキョウ様。

疲弊したカンベエたちを取り囲むウキョウの兵士達。
そして、反逆の首謀者としてカンベエを、そしてキララを連れ去っていってしまいます。


  ここで前半戦終了。
  休憩を挟んだ舞台というものを見たことがなかったのですが、これは気になる!!
  一気に時間のことを忘れます。1時間以上かかってるのに。

 後半へ。