ゲームを通じて知り合いになった人からよく、
「XRXって、どういう意味ですか?」
と尋ねられることがあります。
「XRXひみつ基地」というぐらいだから、その由来については語っておかねばなりますまい(笑)。
高校時代からすでに、ゲーセンに通うことはもはや日課となっていた私は、その日も学校が終わるといつものゲーセンで、いつもの仲間と会話をしていました。
そのとき、ふと友人の一人が、
「そういえばアイツら、お前のことゼロックスってアダナで呼んでるぞ」
と言ってきたのです。
ここでいう「アイツら」というのは、当時同じゲーセンにお互いほぼ毎日いるのに、特に話すこともないので、顔は知ってるけどなんとなく口はきいたことがないという、自分達とはまた別のグループで、その中心人物は、IMP(いんぷー)という、実に知恵のあるゲームのウマい奴で、後のミッキーの店長となる男でした。
「ゼロックス」と呼ばれる理由は、
「人が作ったパターンを正確にマネして、本人より上手い」
というものでした。
これを初めて聞かされた私はそれなりにショックでしたが、言われてみればその通りで、順番待ちの時など、攻略スピードの早い彼らのプレイは実に参考になり、「ははぁ、そこのボスはそうやって倒すのかぁ〜」というのはしばしばでした。
パターン作成能力では彼に負けることをもともと自認していた私は、それ以来「実に的を射ている表現だねぇ」と、みずからスコアネームをXEROXと名乗ることにしました。
ゲームでのネームエントリーは大抵3文字なので、JAPANをJPNと略すのと同様に、XRXとしました。
今思えば、ヤなガキだったな、オレ。
ちなみにIMP君とは現在はいい友達です。
時は流れて大学時代。
私が行っていた大学は県外だったため、友人関係はほぼリセットがかかりましたが、それでも新しくできる友人の多くはゲーマーでした。
まさに、「類は友を呼ぶ」。
私のスコアネームは相変わらずXRXでしたが、ある日奇妙なできごとがありました。
授業が終わって大学の近くのいつものゲーセンに行くと、自分はその日はまだ1回もゲームをしていないのにもかかわらず、いくつかのゲームの「本日のハイスコア」のところに「XRX」の文字が刻まれているのです。
夜になって、いつもの仲間がゾロゾロと集まってきたとき、この話をすると、
「あぁ、あれね〜、オレ。」
と言うヤツが2〜3人いました。
聞いたところによると、どうやら彼らは、納得のいくスコアが出なかったけど、GAME OVERの後ネームエントリーになってしまったような時、「AAA」では味気ないので「XRX」と入れているらしいのです(T-T)
思えば、「XRX」が「へっぽこの象徴」のように扱われだしたのはこの頃からです。
そうこうするうちに、いつしかその店の店員や他の常連から「XRX軍団」と呼ばれるようになりました。
こうなると、なんとなく身内意識みたいなものができてきて、お店のハイスコアをXRXで総ナメにしてやろうと燃えていたものです。
大学を卒業して広島に戻ってきても、そのノリは衰えず、現在に至っています。
集団としての「XRX」について考えると、世間にはたくさんのゲームサークルがありますが、これらのサークル名の由来の多くは、
「オレたちゃゲームが上手なんだぜ」
といった意味合いのものが多く見受けられますが、XRXの場合は、
「オレたちゃゲームがへっぽこなんだぜ」
とか、
「オレたちゃ大事なトコで緊張して死ぬぜ」
と言っている訳です。
しかしながら、この思想がこれまでに多くの人々(30人ぐらいか?)から賛同を受け、スコアネームの頭に「XRX−○○○○」と、堂々とXRXを名乗っているのは、実はこの思想の裏に、
「別にゲームが上手いヤツが偉いという訳ではないだろう」
というニュアンスが含まれているのを感じ取ってくれているからだと思います。
まぁ、こんなかんじですが、知らなかった人も多いのではないでしょうか?
コレ読んで、
「もう2度とXRXは名乗らん!!」
という人もいるかも知れんねぇ。
逆に、
「オレも名乗っていいかな?」
という奇特な方がいましたら、私まで。