オームの話

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「オーム」といっても、某宗教団体ではありません。物理で習った「オームの法則」の「オーム」です。
彼はドイツ人で、職業はもともと非常勤講師でした。
「非常勤」なため収入が安定せず、貧乏でいつもボロボロの服を着ていました。
趣味は物理実験で、外で鉄クズを拾ってきては実験装置を作るような毎日でした。
その実験の甲斐あって「V=IR」という「オームの法則」の論文が完成しますが、その論文を審査した当時のミュンヘン大学の学者達は「たかが非常勤講師の書いた論文なんて、どうせたいした内容ではないだろう」と、全くといっていいほど注目しませんでした。
時は流れてそれから14年後、イギリスの学会でこの論文が発掘され、大変優れた論文なので彼を表彰しようという動きがありました。
「オーム氏の現在の消息を知りたい」と打診されたミュンヘン大は大慌てで彼を捜したところ、なんと貧困からきた栄養失調で入院生活を送っていました。
「これがバレるとドイツの恥だ」というコトで、大急ぎで彼に最高の食事と立派な服を与えて元気にさせてからイギリスに送り出しました。
表彰式を終えドイツに戻ってきたオームには、ミュンヘン大学の教授のイスが用意されていました。
突然やってきた幸運でしたが、オーム氏はそれから4年後、それまでの病気の影響が原因で死んでしまいました。
学問上の偉大な発見をした当時の学者達の多くは彼のように、必ずしも恵まれた待遇だったとは限らなかったようです。




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