伊勢物語試論
2004/05/14 10:44 PM更新
はじめに

これは、学術論文ではなく、小説、一種の私小説のつもりである。
表向きは「伊勢物語」の私的解釈であるが、裏には「愛は復讐である」という命題がある。
人はなぜ、愛するという行動をとるのかと考えた時、「復讐」という言葉が私に芽生えた。
それは「コンプレックス」とも言い得るかもしれない。
しかし、愛という能動的(表面的には受動的に見えても)行為にとって、その言葉はあまりにそぐわしくない。
「復讐」という、ある種取り憑かれたような言葉が、むしろ「愛」にはふさわしい。
(これはあまりにフロイト的な解釈だろうか?)

ここにあるのは、「伊勢物語」の訳でも翻案でもない。
「伊勢物語」に触発された、私のなにかではある。
しかし、恣意的になるつもりはない。
原文に真摯につきあい、語り手や詠み手、登場人物に可能な限り添っていきたいという欲求がある。
この物語にあるような思いを持った者が、私の人生をたどったら、どのような言葉をつむぐだろうか。
そのような興味がある。


一.初冠(ういこうぶり)
二.やよひのついたち、雨そぼふる
三.ひじきもといふもの


・・・・・・・未完