老木を見たいと思った 残りわずかな春の日は そこここに夏の腐臭を持ちだし 濃い花の色ばかりが 水を地中から吐き出す五月の茂みにある。 いちにちじゅう人々はその色の濃さに酔いしれているが、 においの持つ重量は 気づかれることなく山の体積をふやし、 思い出したくない季節へと準備をしている、その間じゅう 街はすてきな色の夢を見つづけた。
老木を見たいと思った
残りわずかな春の日は
そこここに夏の腐臭を持ちだし
濃い花の色ばかりが
水を地中から吐き出す五月の茂みにある。
いちにちじゅう人々はその色の濃さに酔いしれているが、
においの持つ重量は
気づかれることなく山の体積をふやし、
思い出したくない季節へと準備をしている、その間じゅう
街はすてきな色の夢を見つづけた。
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